2024年4月7日日曜日

有孔虫化石

  多摩川の上総層群を調べていて有孔虫化石が入る層準があり、さらに比較的容易に分離できることがわかり、処理をし写真撮影した。具体的には日野の連光寺層と登戸の飯室層である。前者は底生有孔虫のみで後者は浮遊性と底生の有孔虫が含まれている(写真は登戸の飯室層から産出する化石)。前者の堆積環境が内湾で後者が大陸棚斜面なので構成種の違いはそれを反映していると考えられる。なお後者では放散虫化石が出るかと調べたがほんのわずかに出るが研究対象になるものではない。





2024年3月31日日曜日

ポンス・ブルックス彗星

 3月29日の天体観測の際に電視観望でポンス・ブルックス彗星をみた、ここのところ明るくなったとの情報が挙げられており、5等級ほどでふわっと広がるコマと長くのびる尾を確認することができた。

  ポンス・ブルックス彗星(12P/Pons-Brooks)は、周期70年の周期彗星でハレー型彗星に分類される。1812年7月21日にジャン=ルイ・ポンによって発見され、1884年1月、1954年5月と回帰し、次の近日点通過は2024年4月20日(21日)で、同年の6月2日から3日には地球に1.546 auまで接近すると予測されている。




「高野聖」

  泉鏡花の「高野聖」を読む。新幹線敦賀延伸の話題の中、天声人語で明治の頃のこの地域の旅を背景にした猟奇譚として「高野聖」の話題があった。寡聞にして知らなかったため青空文庫で読む。当時の旅行の様子はリアルで時代を感じさせる。旅館での旅僧の話がメイン。苦労した山旅の途中人間でない妖艶な女性に誘惑される話で、誘惑に負けると人外の生き物に変えられるのだが、一歩手前で踏みとどまり逃げることができる。文語調でやや読みにくい。嘘だとわかっていても引き込まれる。なにかの比喩かもしれない。

プレートソルヴィング

 3月29日に久々に天体観測を行った際、準備してきたプレートソルヴィングを行った。プレートソルヴィングとはシーモスカメラでPCに取り込んだ画像から、あらかじめ記憶させておいた星の位置データと比較し、望遠鏡がどの方向かを認識させる操作である。またこれを発展させ目的の星を中心に持ってくることもでき、これをアライメントすることで架台を正確に操ることができる。実際の操作を以下にまとめる。

 もともと電視観望のためShapcapを使っていた。次にEZGTi経緯儀をSynScan_usbでPCにつなぎSynScanPro Windowsで制御でき、さらにプラネタリウムソフトのステラリウムを使って目的の方向に鏡筒をむけることができることを確認した。PCに望遠鏡の映像を取り込むソフトとして使っているShapCapに4.1からプレートソルヴィングの機能が追加された。ShapCapの設定で、ハードウェアにSynScan app driverを指定し適用する。次にプレートソルブにSharpSolveを指定し、望遠鏡の制御にマウントを同期し、天体を中央に再配置するを選び適用する。実施にはSynScanProでアライメントの天体を導入した後、ShapCapの望遠鏡制御のボタンからプレートソルブを実行する(このさい接続済みに✓をいれる必要がある)。目的の天体を導入した後、SynScanProでアライメントを確定する。このあとはステラリウムで目的の天体を次々に見て記録することができる。

 補足)ネットの記事ではAll Sky Plate Solverをプラグインとして利用してプレートソルヴィングを行うことが散見されるが、ShapCap4.1からはこの部分が不要になる。またプレートソルヴィングを調べている際にネットで撮った星野写真がどの方向の何なのかを確定する、純粋にプレートソルヴィングのみを行ってくれるサイトを見つけたAstrometry.netである。

 

 


2024年3月4日月曜日

ドブソニアン

 古い高橋製作所の16cm反射が眠っていたので、何とか利用できないかと考えていた。ただ問題は昔の頑丈なつくりなので14.5㎏もありよほど頑丈な台でないと載らないことである。結論は自作のドブソニアンである。

 初めは厚さ1cmの合板でつくったのだが、筒を支える部分が外側にしなってしまい、うまくいかない。そこで重くなるが厚さ2cmの合板で作り替えたところなんとか撓まない台を作ることができた。自転運動の同期が無理なので、月を中心に観望と写真撮影に使ってみる予定である。



2024年2月25日日曜日

安倍公房「壁」

  安倍公房「壁」を読む。指揮者の小澤征爾が先日亡くなったとき、満州出身で共通する基盤を持つ文化人の一人として紹介されていたのに興味を持ち、今まで読んだことがなかったので手に取った。またその紹介では小澤征爾の指揮のことをクラッシックは堅苦しいものでなく楽しくなくてはいけないとの評であった。

 多数ある作品の中で、高校教科書にもとりあげられていた「赤い繭」のある「壁」を選ぶ。「壁」は最初の前衛的代表作で、第25回芥川賞を受賞した。「S・カルマ氏の犯罪」「バベルの塔の狸」「赤い繭」の中編と短編からなる。「S・カルマ氏の犯罪」は名前を失った主人公が裁判にかけられ、そこから逃げたり、最後に壁になる話。話についていくのが大変で、読後に「不思議の国のアリス」を連想する。「バベルの塔の狸」は主人公が狸のような動物に影をとられ、その結果透明人間になり、狸に連れられてバベルの塔に行き、危機的なところを時間彫刻器で時間を戻し影がとられるのを防ぐ話。杜子春狸として中に出てくるが、読後に「杜子春」に似ていると思った。「赤い繭」は短編集で「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」「事業」からなる。SFショートというと星新一だが、安倍にくらべると星には不条理またハチャメチャという要素が少ないような気がする。



2024年2月23日金曜日

「フォッサマグナ」

 「フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 」ブルーバックス,藤岡 換太郎 (著)を読む。日本の地史の最大の問題であるフォッサマグナについて正面から取り上げた普及書。

 フォッサマグナは北部と南部に分けられる。北部は日本海拡大の際の東日本と西日本が観音開きの様に移動した際、中央部に巨大な地溝が生じたのが元になる。この際糸魚川静岡構造線は正断層であった。火成活動を伴う6000m強の堆積物ができる。この運動によって日本列島の逆「く」の字配置ができる。またこの後太平洋プレートによる圧縮場となり、糸静線は北米プレートとユーラシアプレートの境界で逆断層になる。日本海の拡大は四国海盆拡大にも関係したプルームから枝分かれしたものが原因の可能性があり、拡大終了後圧縮場の下で日本海盆の東日本への沈み込みが始まった。

 南部は観音開きの先端にあたるが、ここではトランスフーム断層であったフィリピン海プレートの境界が沈み込み境界に変わり、その東端の太平洋プレートの境界にあった島弧が次々に衝突をはじめる。御坂山塊、丹沢山塊、そして現在伊豆地塊が衝突および付加をした。これに伴いプレート境界は次ぎ次に南にジャンプし、またその衝突に伴って境界では厚い堆積物ができた。またこの一連の衝突によって基盤の中古生界の八の字構造が成立した。