2025年6月30日月曜日

「虹の鳥」

 「虹の鳥」目取真俊著(影書房)を読む。沖縄の問題を語る目取真俊の代表作との評価のある作品。このような激しい暴力描写のある作品を読むのは初めてである。人間性の全くない比嘉にカツヤが中学生から、高校中退、社会人となるなか暴力で支配されていく様子。比嘉に指示されるまま、覚せい剤?で廃人にされつつある少女(マユ)を利用した美人局。比嘉からカツヤなどがうける暴力、美人局の客に加えられるカツヤの暴力、同業者の男女に加えられる比嘉とカツヤの暴力と性暴力などが詳細に描写される。沖縄の米軍問題を背景にゆがんだ社会(米軍に様々な権利が蹂躙されるとともに基地の土地使用料や米軍が落とす金で潤う社会)が背景にあり、そのなかでやくざの末端のチンピラの活動が描かれていく。あまりに詳細な暴力表現に途中読むのが止まってしまった。最後に比嘉の暴力の中、アクシデントで殺害することになり、マユとあてもなく逃げるカツヤ、救いのない結末である。沖縄の社会の問題を描いているのだが、人に勧めるのが難しい本である。





2025年6月21日土曜日

「インド洋」

 「インド洋 日本の気候を支配する謎の大海」蒲生俊敬著(ブルーバックス)を読む。海洋学者が書いたインド洋についての本。知らないことが多く得るところが非常に多かった。インド洋の地形、中央海嶺、ロドリゲス三重点、スンダ海溝、ディアマンティナ断裂帯、ホットスポット(東経90度海嶺、チャゴス・ラディヴ海嶺)、海水の流れ、海底温泉を探す、モンスーン、ダイポールモード現象、歴史的火山噴火、熱水口での生物群集、シーラカンスやジュゴン、アデン湾と紅海調査。地学を教える基礎の文献となる本である。





2025年6月7日土曜日

コジュケイ

 盛りの花菖蒲を見ようと 智光山公園を歩いていて、コジュケイに出会う。普段は「ちょっとこい」と大きな声で鳴くので気がつくのだが、珍しく足元の雑草の中で歩くのを見つけて写真に収めた。25cmほどのキジの仲間で戦前に中国のものを狩猟用に放鳥したのが繁殖している。ここではまたガビチョウの大きな声がそこかしこから聞こえまた警戒心が少ないのか姿も確認したが、これも愛玩用に中国から輸入したものが野外に逃げて増えたものである。