2025年8月13日水曜日

偏西風

 対流圏の中緯度では西風が卓越し偏西風と呼ばれている。この風は地球規模の南北方向の循環としてはフェレル循環とよばれる。低緯度のハドレー循環と高緯度の極循環とは南北の温度差による直接循環であるが、フェレル循環は両者に挟まれた間接循環である。

 偏西風は中緯度高圧帯(亜熱帯高圧帯)から高緯度低圧帯(寒帯前線帯)に向かって風が吹くのがもとになる。この風は転向力により南風が西風に変化(偏西風)する。また上空では北から南に空気は移動するが、強い偏西風のため北西の風になり、全体として中緯度をらせん状に移動する。次に、南北方向の温度差が大きいと西風が不安定になり蛇行(偏西風波動)をはじめる。この波動に伴い空気の上昇域に温帯低気圧、下降域に移動性高気圧が発生。波動の東進に伴い低気圧と高気圧も移動し、さらに温帯低気圧が発達し解消する過程で、南北の温度差が局所的に解消される。このような運動の全体を通して南の熱が北に移動している。


2025年8月11日月曜日

猛暑

  今年は言わずもがなだが猛暑である。予報士のはなしを聞くと、発達した太平洋高気圧の上に東にはり出したチベット高気圧が重なり晴天と猛暑をもたらしているようである。猛暑の原因の一つになるラニーニャは今は確認されていない。

チベット高気圧:夏のハドレー循環の空気の下降する位置にあるチベット高原は、夏の日差しで気温が非常に高くなり地上は低圧になるが、上空はその分高圧となりこれがチベット高気圧である。これが7月から8月にかけて大きく東に張り出すと日本は猛暑となる。



2025年8月4日月曜日

二重星

  昨年度までは部活動で定期的に天体観測会を行っていたが、現在は自宅ベランダにて経緯台で星を見るくらいにとどまっている。最近は二重星観望をしているが、それなりに面白いので簡単にまとめる。見かけ上近くに見えるものと実際に近くにあり万有引力により周回している連星とがある。また連星は双眼鏡や望遠鏡で分離されるものが実視連星、分離できないが視線方向のスペクトルの周期的変化からわかる分光連星、連星がお互いに隠しあう光度の変化からわかる分光連星がある。全天の星の約半分は連星だとされる。最近見た二重星をまとめる。

白鳥座β:固有名アルビレオ、望遠鏡でみる。主星はオレンジ色、伴星は青色に見える。見掛けの二重星。

大熊座ζ:三重星、ミザールとアルコルは双眼鏡、ミザールAとBは望遠鏡でみる。

猟犬座α:固有名コル・カロリ、望遠鏡でみる。白色の主星と、紫色の伴星。

さそり座μ:双眼鏡でみる、見掛けの二重星。

おとめ座γ:固有名ポリマ、望遠鏡でみる。

牛飼い座ε:固有名プルケリマ、主星が明るく分離しづらい。







2025年8月2日土曜日

「太平洋」

  「太平洋 その深層で起こっていること」蒲生俊敬著(ブルーバックス)を読む。実際に海洋調査をしている研究者による教養書で、非常に面白く教えられることが多かった。深層循環の実相、深層循環が止まったらどうなるか、PCBやマイクロプラスティックによる海洋汚染、プチスポット、ハワイ火山の東のロイヒ火山の成長。陽光丸による天皇海山群の発見、ロバート・デーツによる論文化、デーツによる海底拡大説の発表、「くの字型」に折れ曲がるのは何故か(ホットスポットの南進)。島弧における火山発生の仕組み、成長する海底火山の明神礁(不幸な事故)と手石海丘の調査。深海探査の歴史、超深海で分かってきたこと、より上層と混じりあっている、海底での生物活動はそれなりにある、PCBに高濃度に汚染されたヨコエビの発見。