その生涯と全体主義に関する興味から、ハンナ・アーレントの解説書を読んだ。「ハンナ=アーレント」太田哲男著(清水書院)である。生涯(前半生)、「全体主義の起源」、その後の所著作(「イスラエルのアイヒマン」など)からなる。ハンナ・アーレントによる全体主義の成立の流れをまとめる。
国民国家の成立 19世紀のヨーロッパにおけるナショナリズムの台頭と密接に関連する。国内では少数民族の排除または同化政策を行う、ヨーロッパにおけるユダヤ人排斥はこの流れに沿うもの。
帝国主義の発展 特定の国家が他の国や地域を支配し、その資源や市場を自国の利益のために利用する政治形態。19世紀から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパの大国(英仏蘭等)がこれにあたる。
全体主義主義の成立 全体主義体制は20世紀にナチス・ドイツのヒトラー政権やソ連のスターリン政権などでドイツは海外の植民地化に遅れたためこの方向に進む。政府が社会全体を完全に支配し、個人の自由や権利を制限する政治体制。強力な中央集権、プロパガンダと情報統制、秘密警察と監視、個人の権利の抑圧、一党独裁などの特徴がある。
この本はないが日本の全体主義を調べると、構成要素をバラバラにするのが全体主義の特徴だがこれは弱いが、日本の文化には個人よりも集団の利益を優先する考え方がありこれは親和性がありヒトラー政権やソ連のスターリン政権との違いがあるようだ。