「アドルフに告ぐ」手塚治虫著を読む。戦前〜敗戦の歴史を背景にした4人の群像劇。4人とはヒットラー、日独の親を持つA、在日ユダヤ人のB、そして狂言回しの新聞記者Cである。彼らや周りの人々が歴史のうねりの中で翻弄される姿を描く。AとBとは子供の頃親友であったが、Aはドイツに行きナチス党員になり出世していく、Bは日本のユダヤ人社会の中で生活基盤を作っていく。命を受け日本に戻ったAはBと衝突、最終的には殺し合うことになる。ヒトラーについてもきちんとした資料を下に描かれている。
手塚作品1番とも評価されるので手に取る。漫画なので複雑な展開でも理解しやすい反面、人物の心理描写の部分で文章のほうが優れていると感じた。2024年7月28日日曜日
2024年7月21日日曜日
「微化石一般と放散虫」
日本地質学会主催の「微化石一般と放散虫」松岡篤氏の講演を聞く。新生代と中生代の放散虫研究例を初学者向けに講義するものである。新生代は佐渡の第四紀層の放散虫、有孔虫などの微化石の抽出、資料化の方法を具体的にまとめた。中生代はジュラ・白亜紀境界(JKB)のGSSP策定の件について対象となるイタリアの地層の調査方法を話した(生物群集の変化に乏しいためゴールデンスパイクが設定されていない)。また日本の海溝斜面堆積物から採集されたジュラ紀の放散虫から作った放散虫トランプの話題提供がなされた。具体的な話で理解しやすかった。また、所々で語られる放散虫やその他の微化石に関する知識、具体的には示準化石としてはコノドントは三畳紀まで、ジュラ紀は放散虫のみ、白亜紀半ば古第三紀からは浮遊性有孔虫や珪藻(これも年代決定には小さなものが指標になる)が有効、などのものは役に立った。
2024年7月15日月曜日
繊維と染料の進歩
繊維の種類
天然繊維
植物繊維 綿/麻・・・亜麻(リネン)、大麻(ヘンプ)、当麻(ジュート)
動物繊維 生糸、絹糸/羊毛/カシミア・・・山羊
化学繊維
合成繊維 ナイロン・・・絹に近い/ポリエステル・・・コットンに似る/アクリル・・・ウールに近い/ポリウレタン・・・ゴムのような性質
再生繊維 レーヨン・・・木材パルプ
天然染料
カロチノイド ニンジン、クチナシ(黄~橙)/フラボノイド ヤマモモ(黄~茶)、紅花(赤~紫)/キノン 茜(赤)/ポリフェノール ビンロウジ(茶~黒)/インドール 藍、貝紫(紫~青)/その他 キハダ(黄~茶)、ウコン(黄)、コチニールカイガラムシ(深紅)
合成染料
石炭や石油などを原料として、合成された染料、以前は石炭タールから、現在は、石油(ナフサ)から得られる芳香族炭化水素類(ベンゼン、ナフタレンなど)を原料に、有機合成させることによって作られる。
合成染料の歴史
19世紀の中頃、ドイツの科学者ホフマンが、コールタールからベンゼンを分離し、そのベンゼンから染料製造の原料となる「アニリン」を製造。
1856年、W・H・パーキンが、そのアニリンから紫色の塩基性染料を作り、1857年に、世界で初めて合成染料の工業化が実現。
1869年に、ドイツの化学者グレーベとリーベルマンの共同開発によってアリザリン(茜の色素)が作られる。
1878年に、ドイツの化学者バイエルがインジゴ(藍色の色素)を作る。
2024年7月4日木曜日
「苦海浄土」
「苦海浄土」講談社文庫(石牟礼道子著)を読む。社会運動をする著述家の菅野完の原点だとの話を聞き、読んでいなかったので手に取る。
水俣で起こったことを被害者に寄り添いながらその実態を告発するレポート。豊かな海の貧しい漁民に降り掛かった不条理な災禍、その中で翻弄される人々。隠そうとする企業、一貫した政府の企業よりの態度、それに追従するマスコミ、事実をあきらかにしようとする勇気ある人々。方言が多くやや読みにくい文体だがすごい記録である。水俣病について調べていて印象になった人を上げておく。宇井純:水俣病の研究と社会への広報に取り組んだ研究者、東大で干され万年助手の扱いを受ける。ユージン・スミス:世界に水俣病を発信した写真家、取材の際に会社関係者の暴力を受けそれも原因のひとつで亡くなる。

