2025年7月5日土曜日

「日本海 その深層で起こっていること」

 「日本海 その深層で起こっていること」蒲生俊敬著(ブルーバックス)を読む。海洋化学者が日本海の科学的な姿をまとめたもの。同著者の「インド洋」がよかったので手に取った。最深部が3800mの他の海域との接続が少ない海、日本海盆・大和海盆・大和堆・隠岐堆・対馬海盆、海流の姿、底層水が太平洋などに比べ温度が低く溶存酸素量が多い(日本海固有水)、北西部からの冷たく重い海水の沈み込み、100-200年周期の熱塩循環、同じような規模の黒海との違い、氷期間氷期の繰り返しの中での日本海環境の変化(死の海と豊穣の海)、地球温暖化と日本海の変化(表層水温上昇、底層水の溶存酸素量減少とph上昇)、カナリアの警告を読み取らなければならない。




2025年6月30日月曜日

「虹の鳥」

 「虹の鳥」目取真俊著(影書房)を読む。沖縄の問題を語る目取真俊の代表作との評価のある作品。このような激しい暴力描写のある作品を読むのは初めてである。人間性の全くない比嘉にカツヤが中学生から、高校中退、社会人となるなか暴力で支配されていく様子。比嘉に指示されるまま、覚せい剤?で廃人にされつつある少女(マユ)を利用した美人局。比嘉からカツヤなどがうける暴力、美人局の客に加えられるカツヤの暴力、同業者の男女に加えられる比嘉とカツヤの暴力と性暴力などが詳細に描写される。沖縄の米軍問題を背景にゆがんだ社会(米軍に様々な権利が蹂躙されるとともに基地の土地使用料や米軍が落とす金で潤う社会)が背景にあり、そのなかでやくざの末端のチンピラの活動が描かれていく。あまりに詳細な暴力表現に途中読むのが止まってしまった。最後に比嘉の暴力の中、アクシデントで殺害することになり、マユとあてもなく逃げるカツヤ、救いのない結末である。沖縄の社会の問題を描いているのだが、人に勧めるのが難しい本である。





2025年6月21日土曜日

「インド洋」

 「インド洋 日本の気候を支配する謎の大海」蒲生俊敬著(ブルーバックス)を読む。海洋学者が書いたインド洋についての本。知らないことが多く得るところが非常に多かった。インド洋の地形、中央海嶺、ロドリゲス三重点、スンダ海溝、ディアマンティナ断裂帯、ホットスポット(東経90度海嶺、チャゴス・ラディヴ海嶺)、海水の流れ、海底温泉を探す、モンスーン、ダイポールモード現象、歴史的火山噴火、熱水口での生物群集、シーラカンスやジュゴン、アデン湾と紅海調査。地学を教える基礎の文献となる本である。





2025年6月7日土曜日

コジュケイ

 盛りの花菖蒲を見ようと 智光山公園を歩いていて、コジュケイに出会う。普段は「ちょっとこい」と大きな声で鳴くので気がつくのだが、珍しく足元の雑草の中で歩くのを見つけて写真に収めた。25cmほどのキジの仲間で戦前に中国のものを狩猟用に放鳥したのが繁殖している。ここではまたガビチョウの大きな声がそこかしこから聞こえまた警戒心が少ないのか姿も確認したが、これも愛玩用に中国から輸入したものが野外に逃げて増えたものである。



2025年5月25日日曜日

「海はどうしてできたのか」他

 かつて「フォッサマグナ」を読み、知的に面白かったので同じ作者の本を手に取った。

「海はどうしてできたのか」藤岡換太郎著(ブルーバックス)。高校生向けに書かれた読み物、専門家が書いているのできちっとしているのだが深さにおいてやや食い足りない。新生代のモンスーンの発生、海流の変化(南極還流の成立、海洋深層水の成立、黒潮の成立、パナマ地峡の成立)や(今後)海が消えるシナリオなどは興味深かった。

次に「川はどうしてできるのか」藤岡換太郎著(ブルーバックス)。川の博物学の本?このような視点で川についてまとめたものは初めて読む。正直面白く以下の内容が印象に残る、構造的に規定される大河の流路、ヒマラヤを乗り越える川、河川争奪、海底を流れる川、多摩川を上流から下流まで訪ねる、天竜川やアマゾン川の昔を考える。

(6/20に追加)引き続いて、「山はどうしてできるのか」藤岡換太郎著(ブルーバックス)を読む。プレートテクトニクス入門という位置づけの本。普段行っている自身の授業を強化する内容でありありがたかった。知っていることがほとんどであったが、研究者ならではで細かい知識が網羅されていて得ることが多かった。ただ若干ミスや説明不足が目立ったのが気になった。






2025年5月11日日曜日

「日中15年戦争」

 「日中15年戦争(上下)」黒羽清隆著(教育社歴史新書)を読む。先の大戦はアメリカだけに敗れたのではなく中国にも敗れたという視点の大切さを指摘。自分の中では一つ一つがばらばらであったものが一連の流れの中で理解できる。(上巻)山東出兵、張作霖爆発事件、いかに陸軍が不法行為を繰り返しそれを政府が追認したか。満州国の建国、上海事変、国際連合脱退、華北への侵攻、泥沼に入り込む日本。大長征、国共合作、整う対日本の体制。(下巻)汪兆銘を使った傀儡政権、持久戦に持ち込む中国軍との戦いの実際、戦時経済体制へ、国家予算・軍事予算増大、民需予算の減少。中国共産党支配地域での様子、ゾルゲ事件の尾崎秀実の中国観、3国同盟はなんだのか、満州権益を守ろうとするために対米戦争に突入。ポツダム宣言受諾の様子。



2025年5月9日金曜日

さいかち窪

 黒目川源流のさいかち窪を訪ねる。久米川駅から小平霊園まで徒歩20分ほどで着く。武蔵野面上の凹地で雑木林になっているが、内部は立ち入り禁止となっていたが周囲の道をぐるりと歩くことはできた。黒目川は古多摩川の名残りなのでさらに上流にたどることができるそうである。さいかち窪から黒目川ははじまっていて、新青梅街道をはさんで東に向かって幅2mほどの上流部が2㎞強にわたって散策道路として整備されている。