2016年1月10日日曜日

原子番号113

 理化学研究所の研究チームが、原子番号113番の新元素発見者と国際学会から認定された。原子番号92番のウランより重い元素は自然界には存在せず、人工合成することにより生み出されてきた。これまで、新元素の命名権獲得は欧米勢に限られており、113番元素をめぐっても、理研と米露の共同研究チームが獲得を争っていた。理研の実験は2003年9月から始まった。加速器で亜鉛(原子番号30番)の原子核を重金属ビスマス(原子番号83番)の原子核に衝突させて融合する実験を繰り返し、04年9月から12年8月までに計3個の113番元素の合成に成功した。実験精度の優れていた理研の研究に発見者の名誉が与えられた。
 原子はその原子番号が大きくなると不安定になる。安定に存在できる最大の元素は、陽子82個と中性子126個から成る鉛208です。これより大きな原子核はどれも粒子を放出したり、真っ二つに分裂したりして徐々に「崩壊」する。天然にある一定の量存在するもので一番原子番号が大きいものは原子番号92のウランで、その半減期は45億年です。それ以降の原子の半減期は、96番キュリウム247は1560万年、98番カリフォルニウム251は898年、103番ローレンシウム260は3分、そこから先はもはや秒単位の寿命しか持ちません。理研の実験では113番元素はわずか1万分の3秒でα線という粒子を出して崩壊し、この世から消滅しました。

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