2014年12月30日火曜日

台湾の地質

 台湾を旅行したので事後ではあるが地質についてまとめる。
 台湾はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に位置し、ユーラシアプレートに属する。台湾付近のフィリピン海プレートは、平均して1年間に7cmで大陸側へ移動して、かつ沖縄やフィリピンと違ってユーラシアプレートの上に乗り上げるように衝突している。
 台湾は古生代後期以降の堆積岩類からできている。その出来方は主にユーラシアプレート上の大陸棚を構成する中新世の泥岩類がフィリピン海プレートによってかき集められてプレート境界に堆積し、逆断層運動によって上昇することにより形成されたと考えられる。このため、地質は瓦を積み重ねたような構造となっており、東側ほど古い地層からなり、台湾中央部の3000m級の山々からなる中央山脈は第三紀中新世の泥岩類で、さらに西側の平野部は第四紀層から構成されている。
 台湾の構造を区分すると東から海岸山脈、台東縦谷(かつてのプレート境界、現在では動いていない)、中央山脈、西部の山麓地帯、西部の海岸平野とに分けられる。また多くの逆断層が南北に走っている。1999年9月21日に起こった台湾地震(M7.3、最大震度7)を引き起こした車籠埔断層は地表面において山地と平野の境界を形成している断層である。

2014年12月21日日曜日

岩殿丘陵を歩く

 12月21日(日)に地球科学部の冬の地質見学会を岩殿丘陵で行う。大東文化大学前からスタートし、物見山、岩殿観音、地球観測センター、沈水橋、月の輪駅と歩くコース。見学および一部サンプル採集したのは物見山礫層、岩殿層(凝灰岩、火山豆石、放散虫用泥岩資料)である。
 30年弱ぶりの岩殿丘陵で、2回の下見をして本場に臨んだが、露頭状況がずいぶん変わっていた。丘陵に複数あった泥岩の採石場は、ゴルフ場や物流センターにかわり、有名であった葛袋の化石産地も採集できない状況になっていた。だだ職場の同僚の話しによると丘陵の遊歩道は地元の方のボランティアによりずいぶんきれいにされているそうである。

2014年12月9日火曜日

ハイエイタス

 (昨日の講演報告の続き)20世紀後半は、二酸化炭素濃度の上昇に応じて平均気温が上昇していたのだが、21世紀に入ると濃度上昇はあるのだが温度がそれに対応して上昇していない。この現象ををハイエイタス(地球全体の気温上昇の停滞状態)とよぶ。
 理由としては、二酸化炭素によって具体的に蓄熱されているのは太平洋の西域の海水で、このためラニーニャ現象に似た状況が続き地球全体の熱が上がっていないとの見方がある。また北極振動などの現象が地球の温暖化の影響をある部分打ち消している可能性が指摘されてもいる。これによると20世紀後半はたまたまその影響が温暖化を増加されるように働いていたためで、従来の二酸化炭素濃度上昇のみがストレートに地球の温度上昇に現れるという考えは単純なようである。

2014年12月8日月曜日

北極振動

 地学研究大会で田中博氏の「北極振動」に関する講演を聞いた。
 北極振動とは北極の気圧が平均より高くなることと低くなることを繰り返す現象で冬季に顕著になり、様々な周期がかさなるが10年前後が一番顕著に表れる。中緯度の冬の気象に強く関連する現象である。
 北極の気圧が低いとき(これを極振動指数が正という)は、極渦が強くジェット気流の蛇行が少ない。このさい北半球中緯度の気圧は高く、寒気の南下が抑えられ暖冬になる。
 北極の気圧が高いとき(これを極振動指数が負という)は、極渦が強く弱くジェット気流が大きく蛇行する。このさい北半球中緯度の気圧は低く、寒気の南下がするため厳しい冬となる。昨年の大雪や今訪れている北米や日本の寒気は負の指数の北極振動の影響であると考えられる。
 原因であるが、現時点では物理的な振動現象である可能性が大きい。また同様な南極振動も存在する。