2014年9月28日日曜日

御嶽山の水蒸気爆発

 9月27日に木曾の御嶽山が水蒸気爆発を起こした。噴煙は6000mを超え、紅葉で訪れた登山者が約10名が行方不明、40人強が負傷等で山頂周辺の山小屋に残されているようだ。御嶽山では今月10日ごろから火山性の地震が増加し、噴火の直前には火山性微動も観測され、火山活動の推移が注目されていたようだが、山体の膨張はなくすぐに噴火とは考えていなかったようである。また、わずかだが低温の火砕流も発生したようである。
 関東地方にいる地学の教員だと御嶽山というと、約9万年前に大噴火をおこしこれが関東地方まで厚く火山灰を堆積した御嶽第1軽石層が思い浮かぶ。下末吉ロームの鍵層で所沢で約5cmほどの黒雲母を含む火山灰層だが、現在の御嶽山は比較的静かな活火山だが、これが非常に活発な時期のテフラになる。

ps 数字の訂正
行方不明者約30人
山小屋の滞在者約40人
2014-09-29

2014年9月23日火曜日

SoHO Viewer

 iphoneに〝SoHO Viewer〝というアプリを入れた。今は太陽の状況をあまり時間をおかずにPCやスマホで確認できる時代になっている。このアプリに表示される情報を整理しておく。
 SOHO衛星 (Solar and Heliospheric Observatory)の情報。
NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)によって 開発された太陽探査機。1995年12月に打ち上げられた。太陽と地球の間のラグランジュポイントL1付近で24時間太陽の観測を行っている。地球からは約150万kmの距離。
太陽を隠しコロナを観察
青い画像:LASCO C3によるコロナグラフ、コロナ質量放出(CME)の観測。
赤い画像:LASCO C2によるコロナグラフ、コロナ質量放出(CME)の観測、LASCO C3と比べてかなり拡大して中心を撮影。
太陽面を観察
青の画像:EIT171、171オングストローム波長の太陽。以下いずれもX線フレアの観測。
緑の画像:EIT195。黄色の画像:EIT284。赤の画像:EIT304
 SDO衛星(Solar Dynamic Observatory)
NASAの太陽観測衛星。2010年2月に打ち上げられた。地球の自転と同じ周期で、軌道傾斜角28.5度(地球の赤道面と衛星軌道が作る面の傾き)で 約36,000kmの高度を飛行。太陽の表面、大気(彩層)や太陽の磁場等を様々な波長にわたって高分解能で観測。
黄色い画像:HMI(太陽表面の磁場を観測)のデータを利用した黒点の画像。
白黒の画像:HMI(太陽表面の磁場を観測)のデータ?。

2014年9月17日水曜日

大涌谷と芦ノ湖

 新車の走りの確認の意味も込めて久しぶりに箱根を訪ねた。大涌谷と芦ノ湖である。
 湖畔に車を止めてロープウェイで大涌谷に向かう。箱根火山の活動は外輪山の形成、カルデラの形成、中央火口丘の成長、中央火口丘の崩壊と芦ノ湖の形成とに分けられるが、その最後の中央火口丘の崩壊(神山北西部で水蒸気爆発、大規模な山体崩壊)のあと生じた馬蹄型の火口が出来、ここに約3000年前溶岩ドームである冠ヶ岳が噴出した。現在でもこの周辺(大涌谷)では火山ガスが噴出し観光スポットになっている。
 ここから芦ノ湖まで自然探勝路を1時間ほど歩く、途中崩壊の際の流山が観れるところがあったようだが、今回はパスする。崩壊の際の巨石がぽつぽつあるなか、笹のしげる遊歩道を高度を下げる。ミズヒキ、ツリフネソウやアザミが秋を感じさせる。
 最後にキャンプ場わきを歩き湖畔に降りる、安山岩や玄武岩の火山岩だらけであった。

ps 変質した安山岩
大涌谷で採集した安山岩の岩石剥片をつくる。
肉眼では組織がきちっと残って見えたのだが、薄片にすると斑晶の長石をはじめ石基まで変質し、まともな干渉色を示さず、直交にコルでほぼ真黒な異常干渉色である。
火山の噴気孔そばの薄片を作ったことは今までなかったが、こんなものかと驚いた。
2014-09-18

2014年9月15日月曜日

満月の高さ

 月の話をまとめていてもうひとつ話題をアップする。
 冬の満月の高度は高く、夏の満月の高度は低い。これはなぜかというと冬の太陽の高度は低いこれは黄道上の最も南に位置するためである。次に、満月は地球から見て太陽と反対になるので黄道上の最も北に位置することになり高度が高くなる。もちろん月は白道上を移動するため厳密には黄道上ではないが両者は約5度で交わるため、大雑把な議論では無視しうる。当然夏は逆の理由で満月の高度は低くなる。またこの話は北半球中緯度の話で当然それ以外の地域では異なる。

2014年9月14日日曜日

スーパームーン

 前回に続き月がらみの話題をひとつアップする。
 9月9日にスーパームーンが見えるという話題があった。今年の満月の視直径は8月11日が最大(33′28″)で、1月16日が最少(29′23″)である。
 これは月の公転軌道が楕円軌道のため近地点(35.6万㎞)と遠地点(40.7万㎞)との距離差があるため、近地点近くで満月を迎えた場合月は大きく見え、これをスーパームーンと呼んでいる。今年の近地点はみずがめ座にあるためこの場所で満月になった8月や9月がスーパームーンになったが、この近地点は太陽の重力のため東に移動しその周期は8.9年でこれを対恒星近点順行周期とよぶ。大雑把にいうと1年で黄道12星座を1つ強東に移動することになる。きちっと計算してはいないが、来年のスーパームーンは中秋の名月(9月27日)と重なるのではないか?

2014年9月10日水曜日

対恒星交点逆行周期

 10月8日には皆既月食が日本で見られる。私自身は出張で観察が不可能なのだが、月食がらみの話題をひとつアップする。
  太陽の天球上の通り道(黄道)と月の通り道(白道)とは約5度の傾きで交わっている。この近辺で月食と日食とが起こるためその年に日食月食が起こるのは半年ずれた2回の期間である。またこの交点(黄道に対し月が登っていく点を昇交点またはドラゴンヘッド、逆を降交点またはドラゴンテイルとよぶ)は太陽に重力を受け西に移動し、その周期は18.6年(1年に約19.35度、1朔望月に約1.56度)なので、日食月食が起こる時期も1年間に1か月弱ずつ早くなる。
 ここ数年間の日本で見られた(or見える)日食月食を並べると以下のようになり、半年ごとに起こることおよびその期間が1か月弱ずつ早まっていることがわかる。
 2011年06月02日 部分日食
 2011年12月10日 皆既月食
 2012年05月21日 金環日食
 2013年04月26日 部分月食(月没帯食・低空)
 2014日04月15日 部分月食(月出帯食)
 2014日10月08日 皆既月食
 2015年04月04日 皆既月食

ps 昇交点と降交点
2014年は昇交点が10月(うお座)、降交点が4月(おとめ座)である。
2014-09-14

2014年9月6日土曜日

北高祭

 9月6日は曇天、7日目は雨天で地球科学部の入場者数は約540名で、盛況な文化祭であった。
 生徒の発表は天文分野が、月見観察会、秋の天体観測、春の天体観測、新歓観測、彗星のまとめ、科学フェスティバル、夏合宿の天体観測。地質分野が、長瀞見学会(ポットホール、礫分類)、水子貝塚(縄文土器)、黒谷見学会(化石展示、和同開珎、青銅鏡づくり)、夏合宿(ようばけと化石展示、不二洞、瀬林と化石展示)、川本の古環境、珪藻化石の世界(化石展示)であった。
 普段の活動発表を再び作るのは不合理なので再活用し、発展的なものをまとめさせたのは良かったのではないかと考えている。華やかさにはやや欠けるが、内容的には充実したものであった。