2017年8月23日水曜日

グレートバリアリーフとブルーマウンテン

オーストラリアで訪ねた地形・地質に関する2つの場所を紹介する。両者とも世界遺産である。
グレートバリアリーフ・・・オーストラリア北東にある巨大なサンゴ礁群。オーストラリアはプレートの移動により北に年7cmで移動しているので北部は2000万年前ころから熱帯に入りサンゴ礁が形成される条件のひとつが整った。現在生息するサンゴは大陸棚の先端の残丘(火成岩や堆積岩)上に主に最終氷期以降に築かれた。グレートバリアリーフに所属するグリーン島を訪ねる。ケアンズ港から高速船で1時間の距離にあるサンゴ礁からなる島。ここでグラスボートにのりサンゴ礁を観察し、島内を散策をした、1時間弱で1周できる小さな島、北岸ではビーチロックをみた。
ブルーマウンテン・・・3億年以降の水平層が隆起による浸食によりできた隆起準平原、地形的にはグランドキャニオンに似ているが異なるのは原生林に覆われているところである。石炭の発見によって開発が始まる、現在はシドニーから車で1時間ほどのところにある避暑地である。ユーカリの樹から揮発した油分のせいで全体が青く霞んで見えるので名前がつく。現地では石炭開発の軌道を利用した観光トロッコ列車にのり天然林や石炭の坑口を見学しロープウェイでもどった後、場所を移動しスリーシスターズや隆起準平原地形を展望した。

2017年8月20日日曜日

ユーカリと森林

 東海岸のケアンズ(熱帯雨林気候)、ブリスベン周辺(亜熱帯気候)、シドニー周辺(温帯気候)を見てきただけなので気づいたことだけのメモです。
 動物と同じで固有種が多い。代表的なのが2000種類以上のユーカリで森林の8割をしめるそうである。油分の多いユーカリは乾燥していると発火しやすく山火事の原因となる。またその油分が蒸発し山が青く見える場合もある(シドニー郊外のブルーマウンテン)。コアラは特定のユーカリのみ食べる動物である。ガイドさんの話しではユーカリは裏が白いものが多いようで、コアラのお尻が白くまだらなのはカムフラージュの意味があると聞いた。また常緑樹で成長の際に樹皮がはがれていくとのことである。
 国土の広いオーストラリアなので様々な雨林がある。ケアンズでは熱帯雨林、1億3,500万年前までさかのぼる、地球上で最も古い熱帯雨林だそうです。ブリスベンではゴンドワナ雨林、ゴンドワナ大陸の痕跡を残すそうである、ここでは土ボタルをみる。シドニーではブルーマウンテンでここでもユーカリの森林が広がります、またここでも数メートルの木性のシダが見られるのには不思議な感じを持ちました。

2017年8月18日金曜日

オーストラリアの動物

 固有種が多いのが特徴、8~9割が固有の動物だといわれる。このため東南アジア半島部とボルネオ(あわせてスンダランド)とパプアニューギニアとオーストラリア(あわせてサフルランド)の間に生物分布の境界線(ウォレス線)が引かれる。
 具体的には、哺乳類としたは有胎盤類は少ない、アボリジニが持ち込んだ犬が野生化したディンゴがいる。様々な有袋類が棲む。コアラ、カンガルー、ウォンバット、タスマニアデビルなどカラビン・ワイルドライフ・サンクチュアリ(ゴールドコースト)でみる。原始的な哺乳類の単孔類のカモノハシ、ハリモグラがいる。鳥類だが、真面目に観察したわけではないがまったくと言ってよいほど日本の鳥とは違う。特に違うものとして、飛べない鳥のエミューやオウムの仲間がいる。最後に虫類だが、ワニとしてはクロコダイルがいて、ヘビの種類がおおいそうである。グーレートバリアリーフでアオウミガメをみた。
 また、3億年前から分裂を始めたゴンドワナ大陸に関連する生物を指摘することができる。カメ(カメ類の曲頸亜目、平胸類)、魚(肺魚類?、カラシン科、アロワナ亜科)、カエル(ツノガエル類、ピパ類)、鳥(ダチョウ科)などである。

2017年8月16日水曜日

オーストラリアと日本の物価と賃金

 オーストラリアに観光で行ってきたので気づいたことをまとめる。オーストラリアは物価が高い。25年前は物価が安く住みやすい国だったそうだが2000年のオリンピックから特に顕著で、ケアンズの普通の住宅でも1億を超えるとか。酒屋でビールを買っても500ml缶が500円、最低賃金が1000円強(日本の2倍近い)、トラック運転手の年収が1000万だそうで、金利が3%である。工業製品(車や電子機器)や知的価値の生産(windowsやアップルなど)が盛んでないオーストラリアがなぜこんな生活ができるか、結論は鉱物資源とその土地を利用した農産物生産なようだ。近代化されていて資源があり国民の人数が少ない豊かな国だということか。
 ひるがえって、狭い国土で、海外に売る鉱産資源のない、また農産物の大規模生産のできない日本は、その人口の多さもあって工業製品で稼ぐしかなく、賃金の安い同じ技術レベルの国が出てくると競争に負けてしまう。日本はここ20年ほど平均賃金が上がっていない(オーストラリアは右肩上がり)。日本が戦後から発展した理由は、その教育水準の高さとその人口の多さによる。レベルの高い工業製品を世界に供給し、また消費者である人口が多いのが力になり、世界2位の経済大国になった(現在は3位、ひとりあたりは先進国最下位)。少子高齢化で労働人口、耐久消費財の消費者の人口が減っている日本は、生産拠点を海外にして、価格を抑え、国内の生産にかかわる労賃を抑え、正社員を減らし臨時の雇用を増やしそれでやっと正社員の賃金、国民皆保険、年金システムを維持している。日本の今のシステムの維持はそろそろ限界なのではないか。

2017年8月5日土曜日

尾瀬

 ワンダーフォーゲル部で尾瀬を歩いてきた。その地史をまとめる。
 尾瀬の基盤は桧枝岐層群(中生代?)、花崗岩(白亜紀)とそれに貫入し隆起した蛇紋岩体からなる。蛇紋岩体は隆起し至仏山になる。
 鮮新世に火山活動が始まる。この結果、景鶴山や檜高山がつくられた。景鶴山はその後の浸食により山頂部は岩峰になっている。次に更新世になると、南側で火山活動がおこります。これによりアヤメ平、ススヶ峰、皿伏山がつくられました。これらをつくった溶岩は粘性が低い溶岩です。
 最後に活動した火山が燧ケ岳で、30数万年(更新世の後期)からの活動だとされます。この活動により平坦な半盆地状になっていた只見川の源流が溶岩によってせき止められ、湖が出来、それが埋め立てられ、さらに泥炭層が形成されお花畑が有名な尾瀬ヶ原完成したと考えられる。その泥炭層の厚さは5m弱だそうである。また尾瀬ヶ原の北に三条の滝があり尾瀬ヶ原と尾瀬沼のすべての水が流れ出ているが、これより上流が燧ケ岳の溶岩(?)、下流が花崗岩で風化しやすい花崗岩が削れて滝をつくっているようだ。その後燧ケ岳からの溶岩流によりせき止め湖がつくられこれが尾瀬沼になった。

2017年8月1日火曜日

列島誕生 ジオ・ジャパン

 「NHKスペシャル シリーズ 列島誕生 ジオ・ジャパン」をみる。最新の日本列島形成に関する成果を一般向けにまとめたもの。話は4つのイベントからなる。
 1つ目は、大陸からの日本の分離。新第三紀初めに大陸からの分離がおこる。古地磁気のデータを紹介する。原因としては太平洋プレートの後退を上げていた。かつては中央海嶺の沈み込みを原因としていたようだがいまは否定されているのだろうか?
 2つ目は連続する島の衝突。太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込み生じたかつての伊豆諸島が次々に列島に衝突し東日本と西日本がつながったとされる。ぶつかった陸地は、御坂山地、丹沢山地、伊豆半島と日本に付加した。
 3つ目は西南日本の外帯における酸性火山活動。紀伊半島を中心に取り上げる。フィリピン海プレートの拡大による大平様プレートとの境界の東進のため新しく熱い海洋プレートが沈み込んだことによって起こったとされる。これによって西南日本が隆起したとある。
 4つ目は日本海溝の西進とフィリピン海プレートの方向の変化。新第三紀の末に、太平洋プレートが西に移動し東北日本が山地を形成し、またそれにともなって北に移動していたフィリピン海プレートが北北西に移動するようになる。
 一つ一つは面白いが、背景になった事実をもう少し吟味したい。