2016年12月18日日曜日

東松山市化石と自然の体験館

 12月17日に地球科学部で冬の地質見学会を行った。場所は最近継続して調べている岩殿丘陵で、見学調査を行った後、東松山市化石と自然の体験館を訪れ、化石採集体験をした。
 葛袋にある施設だが、かつてここにはサメの歯がとれる有名な露頭があった。工事の関係でそのの露頭はなくなってしまったが、近くの神社の下に調整池をつくるために掘った際に出た不要になった岩石などを利用してこの施設が作られた。具体的な体験は風化した礫岩の堆積物からサメの歯などを採集する。また礫岩もありこれも壊して化石を探すことができる。初めに解説があり約1時間半の体験(1人1000円)で、私たちの成果は5人で2本であった。施設管理的には必要な値段だが成果に比べ微妙な値段である。その後高坂駅まで40分ほど歩いたが、一番日没の早い時間帯もあって真っ暗になった。

2016年12月10日土曜日

「深海レアアース泥から宇宙の小惑星探査まで」

 東京大学の加藤康浩氏の「深海レアアース泥から宇宙の小惑星探査まで」を聞く。
 レアアースとは何か、3族のSc、Y、ランタノイドのこと。その中でも特に軽レアアース(Sc、Nd)と重レアアース(Eu、Tb、Dy)が重要。特徴てしては強力な磁石をつくれることと光学特性にある。最先端の科学技術には不可欠な素材。現在においても日本の5兆円の経済規模をもつ。レアアースの精製と放射性元素の問題、重レアアースの産出は中国が独占している問題などが語られ。
 自身の研究として、海底の泥にレアアースが濃集する部分があること。その起源は南極氷床の成立の関係がありそうであること。深海底資源の種類について、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガンノジュール。日本近海での深海レアアース泥の状況とのその開発プログラム。開発にかかわる政治との関係が話された。
 最後に、小惑星から鉄やニッケルを採集する計画などが将来のこととして話された。
 ダイナミックな地球科学の話題を提供され興味深く時間を気にせずに聞くことができた。だだ若干政治的できな臭い部分があったこととそもそも科学の明るい部分しか見ていないのを感じた。

2016年11月27日日曜日

11月の降雪

 24日に関東で雪が降り、積もった。東京都心では、気象観測を始めた1875年以来初めて、11月に積雪が確認された。前線を伴った低気圧が南の海上を通過していることに加え、関東の上空を真冬並みの寒気が南下したためである。
 埼玉の川越や所沢では明け方から昼過ぎにかけ雪が降り、積雪は5cmであった。
 今年はラニーニャが始まったせいで寒い冬が予想されている。

2016年11月5日土曜日

秋の天体観測

 生徒と校内天体観測会を行った。当日は晴れの予報だったが、南からの雲が入りやや雲の多い夜間であったが、時折訪れる晴れ間を利用して、観望や写真撮影を行うことができた。
 私が行ったのはFC-76のレデューサー撮影とHFフィルターのテスト撮影である。FC-76のレデューサー撮影は直焦撮影と違ってアダプターが使えずカメラの向きが自由にならないのでやや使いづらい。望遠鏡そのものを回転させて対応する。HFフィルターだが、光量が少なくなるので露出時間はながくなるほか、焦点距離は若干長くなる。効果だが系外星雲はあまり意味がないよう、散光星雲はやや効果があるが、デジタル1眼は赤外部に感度がないのでフィルム写真の時のような効果はない。赤外線改造をしないとHFフィルターは使用する意味が少ない。
 今回は天候の関係でセレストロンのオートガイダーが使えなかった。ただ使用法について考えると自動導入が可能な機種で使う場合、アライメントをしないで目視導入ができる対象をガイドするケースと露出時間が30秒を超える場合に使うのが妥当なようである。

2016年11月3日木曜日

ユピテルとユノー

 未来日記というアニメを見ていて、主人公の天野雪輝と我妻由乃の名前がローマ神話のユピテルとユノーに由来することを知った。ユピテルはローマ神話の主神で男性の神で女癖が悪く、その妻がユノーで嫉妬深いことで知られる。ユピテルはギリシア神話のゼウスと同一視されるほか、英語読みはジュピターである。ユピテルに連れ去られた王女にエウロペがいてこれがヨーロッパの語源になる。アニメの性格設定は由乃の雪輝への強烈な愛情以外は神話とはやや違っている。
 またこれに付随する神話にエコーとナルキッソスがある。ユピテルの浮気に偶然手を貸したおしゃべり好きエコーは返事しかできないよう罰を受ける。そのエコーが好きになったのが美少年ナルキッソスであるが、嫌われ声だけの存在になる。またナルキッソスは多くのものに冷酷な仕打ちをしたため水面に映った自分を恋するように罰を受けかなわぬ恋の末死んでしまう。死後に水仙が咲いていたとの話で、ナルシストの語源になる。

2016年10月30日日曜日

光視症

 目に若干違和感を覚えたので眼科を受診した。光視症であるが、病的なものではないとのことである。
 光視症は何らかの原因で光を受ける網膜に刺激があったときに生じるもので、実際にはないはずの光が一瞬光ったように感る。
 原因は「年齢的な変化」と「病気」があります。「年齢的変化」は、目の中には硝子体というゼリー状の物質がぎっしりつまっています。年齢的変化に伴ってゼリー状の部分が融解して萎縮してくると、網膜と硝子体の間に隙間(=後部硝子体剥離)ができますが、目を動かしたとき眼球が引っ張られた刺激などで光が見える症状がでたるする。
 「病気」は、網膜裂孔、網膜剥離などがある。初期症状として「飛蚊症」や「光視症」が出現するものは少なくはなく、「飛蚊症」や「光視症」が出た場合、精密眼底検査を受ける必要がある。

2016年10月9日日曜日

ノーベル医学生理学賞

 大隅良典さんがノーベル医学生理学賞を受賞した。対象は細胞の基本的な働きの一つオートファジー(自食作用)の再発見にかかわる業績である。
 オートファジーは1963年、ベルギーのド・デューブが命名した。語源は「自分を食べる」というギリシャ語だ。この分解現象は、彼が74年のノーベル医学生理学賞を受けた細胞内小器官「リソソーム」研究の過程で見つかった。多細胞生物では、酵母の液胞の役割を、リソソームが担っている。
 命名から40年近くたって研究が盛んになったのは、大隅さんによる「再発見」のおかげだ。ゲノムが解読されていたモデル生物の酵母を使い、オートファジーに不可欠な遺伝子を特定することで、分子生物学的な研究の基盤が整った。
 やがてマウスやヒトのゲノム解読も進み、酵母と共通の遺伝子を大規模に探すことが可能となった。オートファジーに関する論文の数は、大隅さんの93年の成果以降もすくなかったが、動物に共通の現象であることが裏付けられると爆発的に増えた。今では、がんや老化に伴うヒトの病気にオートファジーがかかわっていると考えられるようになり、現在盛んに研究されている。

2016年10月2日日曜日

科学振興展西部地区展



 科学振興展が10月1日と2日の2日間、東洋大学の川越キャンパスであった。参加作品は物理4、化学11、生物11、地学5、その他1で合計32本で昨年の45に比べ7本少なかった。本校は昨年発見したアンモナイトを中心にした「山中白亜系でPseudohaploceras属アンモナイト化石を発見」を出品した。専門家に鑑定してもらったアンモナイトの結果とともに、周囲を歩いたデータから古環境を推定したものであった。結果は優良賞であった。
 若干気になったことをまとめておく。SSHでお金を使い大学とのつながりの中でつくられた研究結果と昔ながらの高校部活の研究とが混在している。大学との連携のレポートはデータは出しているものが多いが、その骨格部分は大学の分析結果である。研究者を巻き込んだレポートに研究者の名前が出ていない。どこまど自分達で行い、どこからが研究機関に依頼したかが書かれていない(もちろんお礼の文章もない)。わかりやすく書く努力がなされていない。これは自分たちがきちっと理解していないことが理由なのではないか。

2016年9月22日木曜日

ホームページの移行

 Googleドライブでのホームページ公開サービス(ウェブ ホスティング機能)が中止になった。使い勝手がよく気持ちの良いウェブスペースだったがしかたない。
 そこで引っ越し先をさがす。同じようなウエブスペースを考え、OneDriveやDropboxを考えたが本来の使い方ではないのでやめる。
 次にネットで有名なWixを申し込んだが、FTPが使えないのでこれもやめる。
 最後にFTPが使え、無料で容量があり、コマーシャルが入らないものを探し、xDomainでホームページを継続することにする。ややとっつきは難しい部分もあったが、半日で移行がすむ。いまのところ期待通りの動きをしてくれている。
 なおブログは今まで通りGoogleに残す。
新しいHPのアドレス:http://escience.html.xdomain.jp/

2016年9月19日月曜日

デジ1眼の合焦

 sony nex-6 で体育館のドッチボールを撮った。だめだめの写真の連続であった。かつて校庭の明るい中ドッチボールをとったところまともな写真が撮れていたので、フラッシュを使い撮影した。しかしファインダーで覗いていても合焦にもたつき、挙句の果てにピンボケのオンパレード。これほど期待通りの写真が撮れなかったのは久しぶりであった。
 nex-6は位相差AFの併用のコントラストAFのカメラであるが、やや暗い体育館で、動く被写体は実用にならない。極論は置きピンでフラッシュで撮ったほうが良かったのかも知れない。
位相差AFとコントラストAF
位相差AF・・・一眼レフが採用。2つのセパレータレンズを使って2つの画像を検出してそれを並べ、本来合焦するはずの位置から2つの像がどれだけ離れているかでピントのズレを検出、ズレている分だけレンズを一気に動かして合焦するしくみ。ピンボケから一気にピントを合わせ、合焦を知らせるピピッ音とともにシャッターを切る。
コントラストAF・・・イメージセンサーが受光した像を分析して、コントラストが最も高くなるレンズ位置を解析してそこを合焦点とします。比較的AFが遅い機種では合焦の前後でピント合わせにウロウロする感じがある。

2016年9月11日日曜日

示準化石と古地理

 文化祭等で示準化石と古地理を組み合わせた展示ができないかと考えてみた。次のような展示が可能ではないか?
三葉虫(カンブリア~オルドビス紀)
ロディニアの分裂の時期。南半球のゴンドワナ大陸に対し、ローレンシア、バルティカ、シベリアの小大陸がわかれ間にイアペスタ海がひろがる。これらの浅い海に三葉虫が繁栄する。
フズリナ(石炭~ペルム紀)
パンゲアの成立の時期。大陸の東側には古テチス海~テチス海が広がり、暖かい海にフスリナが繁栄する。陸上では森林ができ、両生類が繁栄。
アンモナイト(ジュラ~白亜紀)
パンゲアの分裂の時期。テチス海が次第に狭くなり、それとともに白亜紀には赤道海流が始まる。寒暖の環境に適応したアンモナイトが繁栄。陸上では恐竜が繁栄。
ヌンムリテス(古第三紀)
大陸分裂が進む、テチス海がさらに狭くなる。暖かい海にヌンムリテスが繁栄。陸上では古いタイプの哺乳類が繁栄。

2016年9月6日火曜日

北高祭

 雨が降ったり晴れたりの天気の中であったが、盛況な文化祭だった。全体では5500強、地球科学部の入場者数は700作った中津川産のザクロ石が100個ほど余ったので、約600人であった。
 生徒の発表は地球分野が皆野巡検、岩殿丘陵巡検、新歓の武甲山北の巡検、星空フェスティバルのアンモナイトレプリカ作り、夏合宿の中津川2本(中津川の地質見学、砂金採り)。天文分野が冬の天体観測、新歓の天体観測、火星中接近、スーパームーン、そして大型モニターを使った天体写真のスライドショー。顧問は赤外線写真、赤外線で宇宙を見る、月の名所案内、所沢北からのM天体であった。
 実動部隊が少なかったのでプラスαの部分が今一歩だったようで、文化祭にカルチャー部門では3位にとどまった。

2016年8月28日日曜日

原発シンポジウム

 地団研の小川総会が8月19日から21日にかけて行われた。複数のシンポジウムがあったがその中で一番参考になったものが福島原発事故に関するシンポであった。
 4人の発表者から複数のテーマででの発表があった。特に印象に残る項目を挙げると、1つは放射能汚染の主役の放射性Scの動態の報告で、イオンとして粘土鉱物に取り込まれていること、またセシウムボールの問題が語られた。また次に、低汚染地域といて埼玉と群馬の観測例が上がり、いずれも線量は減っていることただしそれは放射性崩壊によるものでScはとどまり続けていること、汚染の問題として食品は注目されるがほこりに入るものの問題があるそうである。また現在の福島原発での汚染水問題がうまくいっていないことなどが報告された。マスコミに登場する機会は減ったが汚染問題(福島原発問題)が厳然として存在していることが確認できた。

2016年8月13日土曜日

北海道旅行

 三笠ジオパーク以外の小樽、積丹半島、札幌の訪ねた場所をまとめる。
 小樽:天然の良港小樽港を中心に発展した町。明治初め北海道の物資の出入り口として発展、昭和初期には銀行などが立ち並び北海道経済の中心として栄えた。第一次世界大戦後には小樽の大豆相場がロンドン市場に影響を与える時期もあった。ニシンや石炭の不振、樺太の喪失などで次第に勢いがなくなったが、1960~70年代の運河埋め立て論争のあと歴史的な遺産を利用した観光都市として脚光を浴びている。
旧金融街:銀行などの立派な石作りの建物が港に並行するように軒を並べる。営業をしていないものが多く、新しい全く別の借り手が入るものもあり。
運河:汚れた使われない運河を埋め立てる話が持ち上がったが、半分埋め立て半分道路にして現在は観光資源として活用されている。40分の運河クルーズを体験する。
 積丹半島:小樽の西に日本海に突き出た半島。那須火山帯に属する後志火山群の延長上に位置し火山岩でできている。ウニなどの海産物が名物。西南の付け根には泊原発がある。
神威岬:遊歩道を先端の灯台まで歩く。先端に神威岩という岩礁がある。散策路は火山角礫岩やそれに挟まれる砂岩からなる。
島武意海岸:積丹岬の駐車場からトンネルを抜け展望台へ、さらに海岸まで降りる。礫からなる海岸で昆布が自生している。散策路は火山角礫岩からなる。
 札幌では野幌森林公園を訪ねる。
野幌森林公園:札幌近郊の丘陵に残された貴重な森林、人工林と自然林からなる。とにかく広い、100年記念塔、自然ふれあい交流館、瑞穂の池と歩いたが1/10強である。
北海道開拓の村:野幌森林公園のとなりの開拓当時の建物を移築した公園、旅館、有島武郎の住居、北大の寮、農家の建物などをみる。

三笠ジオパーク

 8月上旬に3泊4日の北海道旅行を行い小樽、積丹半島、三笠、札幌を訪ねた。何を見たかをまとめる。
 3日目に三笠ジオパークを訪ねる。2013年日本ジオパークに認定。アンモナイトをはじめとする白亜紀の化石と石炭産業をテーマにしたものである。
 三笠市は明治初めに 良質な石炭の発見され炭鉱開発がなされたことで発展した。またこれを運び出すため鉄道を施設(三笠~小樽間)をつくり、また同時に採算面などで囚人を使った採炭を行われた。第二次世界大戦の後の日本の復興をささえ、町は栄えたが、その後1989年閉山となり鉄道の廃線、さらに人口減少に見舞われている。
 そんな中つくられたジオパークであるが今回訪ねた白亜紀の化石の中核の施設が三笠博物館と野外博物館である。三笠博物館はアンモナイトをテーマにしたもので展示は充実している。ただまじめなきらいがあり、もう少し博物館での販売等で頑張ってもらったほうが良いのかなと感じた。続いて付随する野外博物館を訪ねた。古第三紀層から白亜紀層への変化、野外にみられる石炭層、タヌキ掘りの跡、近代的な採炭の地上設備等がみられ充実した見学コースで会った。あとから資料を読むと、他の炭鉱遺構や鉄道博物館も見学したほうがよかった。

「政府は必ず嘘をつく 増補版」

 「政府は必ず嘘をつく 増補版」堤未果著(角川新書)を読む。今の世の中を直視する、暗くなるような本でもある。気になった部分をまとめておく。
 米ソの対立がなくなってからのアメリカの変化、富の分配が弱くなる、中間層の崩壊、民主、共和両党とも大企業からの献金が大きな財源になり大企業寄りに動くようなる。非正規社員、正規社員、公務員と次々に攻撃、破壊されていく、1%の持てるものと、99%の搾取される人々からなる社会、(大統領予備選挙のトランプ、サンダースの支持)、押しすすめられるグローバリゼーション。
 IMFによって社会構造が壊される国々、韓国の中間層の崩壊や南米の国々の疲弊、IMFはアメリカの利益を代弁する
 福島原発の事故があっても原子力発電を続けるのはなぜか、日米原子力協定という日本にウランと原発を買わせる仕組み、マスコミの原子力が安全の発言者(専門家)はすべて飼い犬、原発否定論がマスコミから排除される
 TPPとはなにか、国民皆保険維持の嘘、薬価のアメリカ企業による支配、企業の不利益を理由に相手政府を訴えるISDS訴訟でのアメリカは負けたことがない、成立していないのに法令改正を始めるアメリカ寄りの日本政府、国連人権理事会すらTPPに反対している。

2016年8月6日土曜日

デュープレックス構造

 埼玉県の理科研主催の剱崎・城ケ島の地質巡検に参加した。案内は蟹江康光氏である。
 いろいろ面白かったのだが、一番の成果はデュープレックス構造であった。デュープレックス構造とは、地層がその構造に近い複数の低角度の断層によって切られ繰り返して見える構造のことで。海溝での付加堆積物に特徴的な構造だと考えられているものである。城ケ島西部で調査をしていて、ピンクタフが何回も繰り返していることを認識していたが、それ以外の場所も含めて三崎層の基本構造であることが再認識できた。
 この地域では、これが一般に認識される前は、ただ単純に地層の厚さを足し合わせたため1万mを超えるような層厚が推定されていたが、実ははるかに薄いものであったことになる。
 またこのような特殊な構造は海溝での付加を考えないと説明できない。この上位に乗る初声層ではこの構造の現れ方が弱いことや三崎層を削ってできた堆積物であることから、これが付加堆積物の上位に堆積したものであると推定されている。

地球科学部夏合宿

 7月31日から2泊3日で奥秩父の中津川で夏合宿を行った。
 梅雨明けはしたのに天気が悪く夜は全く星空が見えなかった。特に3日目の朝は豪雨が続き、一瞬だがバスの運行が気になる天気であった。
 昼は1日目はこまどり荘から出合の地質見学、トーナル岩、金探しに来た平賀源内の滞在先の家、ホルンフェルスをみてスカルン鉱物を採集。2日目は地球科学部で初めての企画としてパニング皿を使った砂金探しを行った。ごく小さなものが見つかったがはじめてなのできちっと調べる必要がある。後半は文化祭のお土産のための黄色いザクロ石の採集を行った。3日目は大若沢の勘兵衛の滝までのまでの地質見学、複数のホルンフェルスが見られた。

2016年8月3日水曜日

「戦後政治を終わらせる」

 「戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ」白井聡著(NHK出版新書)を読む。以下参考になった項目を上げる。
 戦後の政治を大胆に解説する本である。朝鮮戦争がはじまり、GHQ内の主導権争いがおこり、戦争責任者たちが復活する。敗戦を終戦といいかえさせたのはなぜか。
 55年体制とは、アメリカをバックにする自民党とソビエトをバックにする社会党、ゆるい傀儡。最前線の韓国、台湾と前線の日本との戦後政治形態の違い。安保条約の変化、最初の安保条約、60年安保条約、冷戦崩壊以降の安保。
 日本には2つの法体系がある。ひとつは憲法、もうひとつはアメリカと約束したこと、後者が前者に優先する。世界に類を見ない親米右翼が主流派になる不思議な日本。沖縄の基地の固定化にもっとも貢献したのは昭和天皇である。
 反知性主義と排外主義がはびころのはなぜが?対中脅威論とはなにか?冷戦崩壊後の新しい体制を模索した小沢一郎と鳩山由紀夫。そしてそれを引きずり下ろしたアメリカに支配されることから利益を得ている人たち。
 いままでに考えていたことが確認され、かつ新しく目を開かせられた部分が数多くあった。

2016年7月22日金曜日

理数科臨海実習

 7月21日から22日に所沢北高校理数科で初めての臨海実習を行う。
 21日は観音崎博物館を訪れ、博物館主催の磯の生物の観察を行う、その後実習室でウニの授精を観察する。城ケ島京急ホテルに移動し、夕食後東大三崎臨海実習所の黒川さんに講演をしてもらう、その後ウニの発生の継続観察をする。
 22日は朝最後のウニ発生の観察の後城ケ島の地質巡検を行う。霧雨であったが、この時期にしては涼しく充分成果のある実習を行えた。その後マグロ丼の昼食をとり、学校に戻った。

2016年6月26日日曜日

武川岳

 登山部の山行で奥武蔵の武川岳を登った。テント練習を兼ねての山行なので山登りそのものは軽いものである。1日目にふもとの大鳩園キャンプ場までむかう。事前の天気の悪かったせいか、客が少なく周辺は独占状態であった。しっとりとした空気と渓流の森の雰囲気は良く、カジカの声、トラツグミやミソサザイの声には久々に喜びを感じた。
 2日目は妻坂峠にむかう、歩き出してすぐの分岐の川底には赤色チャートに淡青色チャートを挟みきれいな岩石が露出する。峠では武甲山の展望、古い石の道標?があり昔からの峠であることを確認する。武川岳へは尾根沿いの道、途中石灰岩が露出する部分がある。武川岳山頂からは蕨山が展望される。天狗岩経由で名郷方面へ下る。途中、大持山と小持山の展望、鹿よけの網が張られてある。天狗岩は登山道沿いに200m強続く石灰岩のカルスト地形である。キャンプ場に降りると谷風が吹きあがってくるのを感じる(昨日夜は谷を下る山風であった)。

2016年5月29日日曜日

火星の地形

 接近に合わせて火星の地形についてまとめる。
 火星は会合周期が780日なので2年2か月ごとに地球に接近する。今度の接近では衝が5月22日、最接近が5月31日でその距離は約7500万kmの中接近である。接近の際は小望遠鏡でもその色の濃淡や白い極冠が観察でき、アマチュアの観察対象になる。その中で一番目立つのは色の濃い三角形の大シルチスで、オランダの天文学者・クリスティアン・ホイヘンスが火星の自転を調べるためにこの地形を使ったことで知られています。ちなみみに火星の自転周期は24.6時間で夜の間継続して観察していると右(望遠鏡では左)に自転しているのが分かります。
 私自身は断片的にしか見ていないが地形図を見ると、大シルチス(280度)が見えなくなると、南に横に黒い帯・サバ人の湾(340度)が現れ、次に南(オーロラ湾)と北(アギタリアの海)に黒い部分が現れる(30度)。続いて南に黒い帯・シーレーンの海(120度)と明るい広がりが現れ、最後に南にキンメリア人の海(200度)が現れ、大シルチスに戻る。それ以外の有名な場所としてオーロラ湾とシーレーンの海の間にマリネリス渓谷、シーレーンの海の北にオリンポス山がある。

2016年5月22日日曜日

地質学会の城ケ島巡検

 夏の地質見学の参考にと考えて地質学会の一般向けの地質見学会に参加する。場所は城ケ島で、白秋碑からスタートし武蔵野面まで登り、ロームを観た後、馬の背洞門に降りる。続いて西に歩いて城ケ島終点のバス停で解散のルートである。
 案内者の神奈川地学会の鈴木さんは放散虫の専門家で、特に放散虫のデータについては詳しい説明があり参考になった。三崎層も場所によって時代が異なることや、詳しい解析により堆積時の深度や緯度が分かるとの説明が具体的な種の写真をもとにあった。それ以外にも地元でよく調べられているようで、東京パミス、初声層の堆積環境、火山豆石、SOタフ、火炎構造、生痕化石、地層の繰り返しなど参考になる部分が多かった。

2016年5月15日日曜日

ケプラーの第三法則

 天文の教科書に必ずのるものにケプラーの法則がある。ケプラーの第一、第二法則は火星の位置のデーターから作図により比較的簡単に求めることができるが、第三法則は今まで自身求めたことがなかった。
 今までの天体写真を整理していて木星のガリレオ衛星の連続写真(5日間のほぼ同一時刻に撮ったもの)を持っていることに気が付き、これでケプラーの第三法則が確認できないかとはじめた。公転周期はほぼ有効数字2桁で求められ、同一機材で撮影していたことから平均距離は最も離れた地点を定規で有効数字2桁でもとめ、それぞれを3乗、2乗しグラフに落としたところほぼ直線上にのった。こんな簡単な観測結果からもそれなりの結果が出ることに自身びっくりしている。詳しくは授業実践のページにまとめてある。

2016年5月1日日曜日

新入生歓迎地質見学会

 5/1に新入生歓迎地質見学会に秩父に行く。横瀬駅で降り、1時間弱歩き武甲山から延びる小尾根上でフズリナ化石を探す。5mm弱のペルム紀前期のフズリナが複数産出した。
 昼食後、秩父盆地の縁の断層に沿って歩く。午後の見学は橋立鍾乳洞で、外で石灰岩の溶食の様子を観察したあと、洞内に入る。初め若干さがったあと上に登るルートで、途中鍾乳石、石筍、石柱、ノッチなどが観察できる。中で写真が撮れないのが残念であった。浦山口駅にむかったが最後にSLが通過するのに遭遇する。

2016年4月24日日曜日

小川町を知ろう・身近なところから

支部総会で、小川町立図書館長の新田文子氏の講演を聞いた。氏は小川町史作成の際の責任者を務めた方で、小川町史の地質編を地団研のメンバーとともに作成した方でもある。
 講演の前半は地質関係の話題提供がなされた。当初浅間山地震といわれた西埼玉地震の話題。小京都と呼ばれる川の多い小川町の地形、京都に似た地質の話題。観光洞として入洞できた当時の古寺鍾乳洞、最近注目される板碑の話。浅間山の噴火と小川周辺の被害状況などである。どれも地質が専門の私が聞いても地元の方の知識が付け加えられ興味深く聞かせてもらった。
 後半は細川氏の話題が中心になる。ユネスコの無形文化遺産になった時の夜遅くまで待たされた状況。紙の起源とその伝播の様子。和紙の特徴と洋紙との違い、耐久性のない洋紙と正倉院のに残る和紙の文書。ヨーロッパでの和紙の認識のようす、“wa shi”は世界語。そして最後に小川の細川紙の歴史、慈光寺と和紙作りの発展、江戸時代の和紙の普及と和紙問屋との争い、その中で生まれた細川紙。
 講演に慣れていることもあり、面白くあっという間の1時間半であった。小川という場所が自然と紙をkey wordにわかるものであった。

2016年4月19日火曜日

2016熊本地震

 4月14日に最大震度7(M6.5)、16日に最大震度6強(M7.3)の浅い地震が熊本で起こり、建物の倒壊、地滑りが発生し19日現在50人弱の死者を生じる地震災害が発生した。まだ余震が多発し地震活動が継続している。
 この地域は別府‐島原地溝帯と呼ばれる正断層運動が起こる要素とフィリピン海プレートが九州に衝突するため右ずれの横ずれ断層が起こりやすい要素とが重なる地域で、今回の動いた断層は右ずれ断層で、地溝帯の南縁を画する西の日奈久断層帯(14日の地震)と布田川断層帯の断層(16日の地震)が動いている。さらに大分に伸びる部分でも余震が起こっている。
 この地震の特徴はこれだけ大きな地震で前震が観察された珍しい地震でありこれが建物の倒壊による死者の増加をもたらしてる。
 GPS解析によると、九州は北部、西部、東部、南部のマイクロプレート?に分けられ独自の変位をしていて西部と南部の動きの違う地塊の間で断層運動が生じたと考えられるようである。

2016年4月10日日曜日

新担任からのメッセージ

 桜の散り始めた中、金曜日に入学式が行われた。その関連で、北高新聞の「1年生へ新担任からのメッセージ」に次の文章を投稿した。
 高校入学は今までの人生の中で一番の変化かもしれません。今、眼前には広々とした海があります。可能性を広げる海です。殻を打ち破り、新たな挑戦です。皆と何かを生み出す楽しみを体験しよう。唯一の高校生活、実り多い3年間を目指して。
 新入生に向けた投げかけ以外にもう一つの意味を持たせている。

2016年4月1日金曜日

臨海実習事前調査

 7月の臨海実習の事前準備に私が講師になって関係者全員で城ケ島の地質見学を行った。
 1日目に城ケ島西部の本番のルートを北から南に向かって全員で歩く。ポイント1の確認項目、地層とは、各種岩石、走行傾斜、級化層理。ポイント2の確認項目、スランピング、穿孔貝、大正関東地震の痕跡。ポイント3の確認項目、ピンクタフと鍵層、コンボリュート葉理、火炎構造、向斜構造。長津呂湾を超えてポイント4に向かう。ここでの確認事項はピンクタフ、生痕化石、火山豆石。灯台がポイント5でここでは海岸段丘、ピンクタフ、向斜構造である。
 2日目は残りの城ケ島全体を南部から東部にかけて見て歩く。海食洞とSOタフ、初声層の岩石、斜交葉理、馬の背洞門、城ケ島公園からの展望、最東部の三崎層の逆転層。
 充実した2日間で終了後に参加者に講習の修了書を発行した。

2016年3月26日土曜日

岩殿丘陵を訪ねる

 1年半ぶりに岩殿丘陵を歩いた。14年末に歩いたコースと同じであったが科学展に出す研究の関係で再度の訪問である。気づいたことを書きとめる。1つ目は岩殿観音から地球観測センターまで露頭を記録して歩いたがどうもうまくポイントがとれない。これが2度目なので気が付いたが、理由は道路が2.5万図とは変わっている。次に、前回サメの歯を採集した都幾川沿いのポイントに行ったが、整備がされていてよかったと思ったが、立ち入るなの東松山市の看板があり泣く泣く断念する。

2016年3月22日火曜日

磐城旅行

 連休に福島の磐城を訪ねる。福島県の最大の人口をもつ市で歴史的には茨城県とのつながりが大きい。訪れた代表的な場所を上げる。
アクアマリンふくしま・・・小名浜港にある水族館、魚類化石展示、陸上の水環境などを総合した施設。水族館のテーマとしては地元の黒潮と親潮の境の潮目がクローズアップされる。
いわきららミュウ・・・いわき市観光物産センター、海産物等のいわきの物産をあつかう。また2011年の東北地方太平洋沖地震の記録を展示するスペースがある。いわき市で最大8.6mの津波が襲い400人強がなくなった。
いわきマリンタワー・・・小名浜港の北の崎に立つ60mの展望塔。周囲の海、小名浜港が一望できる。
白水阿弥陀堂・・・福島県内では唯一の国宝建築物。平安時代に建てられた阿弥陀堂で、周囲に池が広がり浄土信仰を具現化している。彼岸の中日で堂のそばまではいけなかったが、それが幸いしてか静かな中で阿弥陀堂周囲を散策した。
いわき湯本温泉・・・奈良時代から知られた温泉、地下の花こう岩の熱源により温められた地下水が起源。明治に入り常磐炭鉱の操業で湯脈が絶たれたのちは、地下からくみ上げた温泉を利用。炭鉱閉山後は温泉ボーリングにより湯量が確保され、また温泉リゾートとして閉山後の雇用対策になった。
化石館ほるる・・・いわき周辺で産出したフタバサウルスをはじめ、中生代を中心に化石が展示されている。また採炭の歴史が視覚的にきちっとまとめられていてかつてこの地域を支えていた産業を記録する施設として充実している。
いわき市アンモナイトセンター・・・いわきの市街地から1時間ほどの山の中にある、アンモナイトを中心に露頭そのものを保存し、発掘体験ができる施設。アンモナイトが多数産出する白亜紀後期の浅海層をそのまま保存し展示してある。

2016年3月13日日曜日

「謎解き・海洋と大気の物理 地球規模でおきる「流れ」の仕組み」

 「謎解き・海洋と大気の物理 地球規模でおきる「流れ」の仕組み」保坂直樹著(ブルーバックス)を読む。文章は一見易しいが、内容は深い理系大学生の教養課程向けの本。海洋の流れに関する物理面から見た解説書。次のような項目が目についた。
 ミクロの決死圏は有り無し?(レイノルズの相似則)、風成循環の亜熱帯還流とエルニーニョ(地衡風、地衡流、エクマンのらせん、エクマン輸送)、西岸強化(ロズビー波)、熱塩循環の深層循環。
 一度読んだだけではわからない部分もある。

2016年3月12日土曜日

高校入試

 3月2日(水)に埼玉県の高校入試(学力検査)が行われた。そのあと専門の理科を採点したが、今年は例年通り各分野の小問をまとめたものと物理、化学、生物、地学の5つの問題が出題された。大きな特徴は物理、化学、生物、地学の4分野で記述式の問題があったことである。1問1答式の問題と違いうろ覚えでは書けないので難しかったようで平均点は5教科で最低であった。また採点基準作りや、文章として未完成なものを読まなければいけないため採点が大変で、5教科の中で最後に点数のコンピューター入力をすることになってしまった。

ホームページとブログの引っ越し

 FC2のHPスペースとブログを利用してきたが、最近広告が邪魔になり、前々から魅力を感じていたGoogleにホームページとブログを引っ越すことにする。
 かつてホームページの引っ越しを試みたことがあったが、若干わかりにくかったのでストップしていたのだが、作成手順をまとめたホームページを参考に何とか作成した。
 広告がなく非常にすっきりしている。
ホームページ:https://googledrive.com/host/0B5rKu62_4GAAaG9PZ01oenlvb2M
ブログ:chigaku.blogspot.com

2016年2月27日土曜日

「図解 気象学入門」

 「図解 気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図」古川武彦、大木勇人著(ブルーバックスB-1721)を読む。幅広い気象学の分野を的確にまとめた、理系大学生向けの簡単な教科書のような本。自身の教える大気の科学のup to dateにと読んだが期待通りであった。知っていることの原理を確認できる部分が多かった。具体的に上げると以下の項目である。
 暖かい雨と冷たい雨(ウェーゲナーが提唱)。積乱雲の科学、ガストフロント、スコールライン、テーパリングクラウド、スーパーセル。大気の大循環、偏西風帯は上空でも西風。低気圧モデル、乾燥コンベアベルト、温暖コンベアベルト、偏西風波動。高気圧ができる仕組み、シベリア高気圧、移動性高気圧、小笠原高気圧、チベット高気圧。梅雨、中国と日本の違い。新しい台風の科学。

2016年2月22日月曜日

「スーパーアース 地球外生命はいるのか」

 「スーパーアース 地球外生命はいるのか」井田茂著(PHPサイエンス・ワールド新書041)を読む。 最近の太陽系外の惑星系科学の成果をまとめた本。次のような項目からなる。
 太陽系外の惑星探査の方法、ドップラー法、トランジット法、重力レンズ法。様々な惑星の発見、ホットジュピター、エキセントリックジュピター、スーパーアース。太陽系形成の標準モデル。様々な惑星系はいかに誕生したか。スーパーアースと生命存在の可能性。
 ホットジュピターはもちろん知っていたが、こんなに解っているのかと最新の成果に驚いている。

2016年2月20日土曜日

「人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」」

 「人類進化の700万年 書き換えられる「ヒトの起源」」三井誠著(講談社現代新書1805)を読む。新聞社の科学部の記者がまとめた人類史に関する総括的な本。非研究者がまとめたもので素人向けに解りやすくまとめられている。また決して質は低くない。
 印象に残った部分を上げておく。崩れるイーストサイドストーリー、最も初期の人類の産出場所や乾燥化はしていない当時の環境。原人の段階でヒトは石器、食生活、脳と体型の大型化と飛躍的に進化する。北京原人と火、シャニダールの花粉の問題点。現生人類の誕生と生活域の拡大。ジャワ原人の末路。東アジアに広がる縄文人の起源。化石の年代決定法、遺伝子研究とヒトの進化、脳の巨大化、言語の成立、長寿、視覚の発展等々。
 これを利用し自身の授業プリントにも手を加える。

2016年2月19日金曜日

台湾南部地震

 2月6日、台湾南部でM6.4、最大震度6の地震があり、台南市でビルが倒壊し100人強の死者が出た。死者の9割以上が1つのビルの倒壊による犠牲者でビルの構造上の問題があった可能性がある。
 この地域はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに乗り上げるように衝突していて、この衝突に伴う断層のひとつが西にずり上がったようである。また低地での揺れが大きかったのは焦点効果の可能性が指摘されている。

2016年2月17日水曜日

「地球の中心で何が起こっているのか 地殻変動のダイナミズムと謎」

 「地球の中心で何が起こっているのか 地殻変動のダイナミズムと謎」巽好幸著(幻冬舎新書)を読む。岩石学者がプレートテクトニクスについて最近の知見をまとめたもので、非常に参考になった。具体的には以下の項目である。瀬戸内火山帯の形成の仕組み、沈み込む温かいプレートがとける。沈み込みとマントルの発生の仕組み、水の関与。フィリピン海プレートの歴史。伊豆小笠原島弧における大陸地殻の存在とその理由、島弧地殻の部分溶融による安山岩地殻の形成。マントル内でのコールドプルームとホットプルームの仕組み、教科書の図の元になっているのもが何なのか。
 自身も授業でプレートテクトニクスを教えているが、発展の早い分野なので新しい知識をいれて行かないと陳腐化してしまう。 

2016年2月14日日曜日

「宇宙と生命の起源 ビックバンから人類の誕生まで」

 「宇宙と生命の起源 ビックバンから人類の誕生まで」嶺重慎、小久保英一郎編著(岩波ジュニア新書477)を読む。表題のとおり専門家が11の話題について高校生~大学生向けにまとめたもの。それぞれの分野で現在常識になりつつあることが理解できる高校の理科の教科書を1歩踏み出した内容である。前半の宇宙のはじまりから太陽系の誕生までが特に参考になり、太陽系の部分はこれを参考に自身の授業プリントを書き換えた。また最後半の人類までの道のりは参考になった部分はあるが間違いがある(初期の生命について、日本人の成立)。

2016年2月10日水曜日

「宇宙物理への道 宇宙線・ブラックホール・ビックバン」

 「宇宙物理への道 宇宙線・ブラックホール・ビックバン」佐藤文隆著(岩波ジュニア新書394)を読む。著名な宇宙物理学者がいかに専門と取り組んできたか、またその間の宇宙物理学の発展の様子をまとめたもの。
 専門の項目としては次のようなものが取り上げられる。クウェーサーと重力崩壊、一般相対性理論、宇宙背景放射と宇宙膨張、ブラックホール、暗黒物質、大統一理論などである。本書の主目的でないのだろうが、それぞれの事象に対する掘り下げはややおおざっぱで、これだけを読んだのではややわかりにくい部分も多い。
 次に、この本は科学者の一人としての歩みに重点を置いている。それらは具体的に、自身の生い立ち、学生時代の話し、学生時代にいかに研究者としての力をつけたか(彼の場合自主ゼミの役割が大きかった)、研究テーマを以下に設定したか、他の研究者との交流がいかに役に立ったか、科学と政治の問題、研究者としての心構えなどである。

2016年2月9日火曜日

「日本恐竜探検隊」

 「日本恐竜探検隊」真鍋真、小林快次編著(岩波ジュニア新書485)を読む。最近の恐竜学について、日本の恐竜研究についてまとめた恐竜についての入門書。分類学の基本(単系統群、側系統群、恐竜とは三畳紀後期のはじめに主竜類の系統から進化し、白亜紀後期の終りの大量絶滅によって多くは絶滅したが、鳥となった恐竜は現在まで生きのびている)、恐竜の基本的な知識、例えば分類、
鳥盤類
 角竜類(トリケラトプス)
 堅頭竜類
 鳥脚類(イグアノドン)
 鎧竜類(アンキロサウルス)
 剣竜類(ステゴサウルス)
竜盤類
 古竜脚類
 竜脚類(ブラキオサウルス)
 獣脚類(ティラノサウルス)→鳥類
恐竜研究の大変さ、日本の恐竜研究の現状がわかりやすくまとめられている。また、実際の研究者がまとめた本なので迫力がある。

2016年2月7日日曜日

「アフリカ大陸から地球がわかる」

 「アフリカ大陸から地球がわかる」諏訪兼位著(岩波ジュニア新書431)を読む。長年にわたってアフリカを研究のフィールドにする地質学者のアフリカの地質やアフリカに関する話題提供を通じ、その面白さをまとめた本である。
 内容は、初期のアフリカ調査についてやナイル川が探検された歴史から始まり、3つも大きなクラトンからなるアフリカの地質についての話題(始生界、原生界、ブッシュフェルト火成岩体、天然の原子炉、汎アフリカ変成帯、鉱産資源)、また項目を割いて大陸の分裂とダイヤモンド(かつての沈み込みによってつくられたものがゴンドワナ大陸の分裂に伴う火成活動で地上にもたらされる)、アフリカ大地溝帯(大地溝帯の詳細、カーボナタイト、人類の起源)、そして最後に砂漠化の問題である。
 地球の古い大地のことは具体的には知らないことが多く大変参考になった。プレートテクトニクスなどを理解した上で読むべき本で高校生には語り口は平易だが、やや難しいのではないか、理系大学生向けな感じがする。

2016年2月5日金曜日

「カラー版 天文学入門 星と銀河とわしたち」


 「カラー版 天文学入門 星と銀河とわしたち」嶺重慎、有本淳一著(岩波ジュニア新書)を読む。膨大な天文学の分野をわかりやすく解説した中高生向けの入門書。簡単な地球史から始まり、太陽系、星の一生、銀河系、銀河の世界、宇宙の歴史とあり、歴史に重点を置いたまとめがされている。また、情報が新しく、図版がきれいで適切であり初心者に適当である。もちろんその分説明不足かなと思われる部分、ある一方の考えしか述べられていない部分もあるがいたしかたないところである。自身が一番参考になったのは、最新の銀河に関する知見であった。

2016年2月4日木曜日

「地球の内部で何が起こっているか?」

 「地球の内部で何が起こっているか?」平朝彦、徐垣、末廣潔、木下肇著(光文社新書214)を読む。 プレートテクトニクスの研究者による概説と筆者たちが取り組んでいる「ちきゅう」プロジェクトのレポート。
 前半のプレート関連は知識の整理に役立った。具体的には次の項目である。プレートテクトニクスの成立過程、日本列島の新知見、海洋調査とプレートテクトニクス、氷期と間氷期の研究成果などである。
 後半は日本の深海掘削船「ちきゅう」のレポート。何を行うか、技術的な困難さ、研究者のコミュニケーション、プロジェクトの運営など詳述されている。はっきりいって後半はやや間延びがする観がある。後半は自分たちの最近の活動内容をまとめた部分であり、一般の読者に地球科学的な関心を持ってもらおうという部分ではない。この本全体の対象者は地球科学系の学部生以上である。

2016年2月3日水曜日

「地磁気の逆転X年」

 「地磁気の逆転X年」綱川秀夫著(岩波ジュニア新書397)を読む。 地磁気について書かれた優秀な教養書。私も地学の授業で地磁気に関して話しているが、そのベースになるような知識が広く優しく正確に書かれてある。
 役にたったところを以下に列挙しておく。地球における双極子磁場と非双極子磁場、地磁気の逆転時にも後者はなくならない。地磁気の逆転は約300年で起こった(房総半島の研究)、オーロラの仕組み、オークランドエクスカーション、地球磁気の3条件、白亜紀スーパークロン、なぜ地球に磁場があって金星・火星・月にないか。
 理系進学のとくに地球科学系に進む学生には読んでほしい本である。

2016年1月11日月曜日

2016天文現象

今年の天文現象は火星が中心になりそうである。
2/16 アルデバラン食(昼間)
3/9 部分日食 食の始め10時~12時(入試事務にて観測不可),木星衝
*春の観測会・・・木星と火星
4/18 水星東方最大離角・・・前後に観望?
*新歓観測会・・・月、木星、火星、土星
5/8 アルデバラン食(薄明中)
5/22 火星衝
5/31 火星最接近(0.503AU)
6/3 土星衝
7/2 アルデバラン食(昼間)
夏の観測会・・・土星
8月上旬 夏合宿
9/15 中秋の名月・・・前後に観望会
9/22 アルデバラン食(昼間)
10/26 金星西方最大離角
*秋の観測会・・・秋~冬の星雲星団
11/16 アルデバラン食

2016年1月10日日曜日

原子番号113

 理化学研究所の研究チームが、原子番号113番の新元素発見者と国際学会から認定された。原子番号92番のウランより重い元素は自然界には存在せず、人工合成することにより生み出されてきた。これまで、新元素の命名権獲得は欧米勢に限られており、113番元素をめぐっても、理研と米露の共同研究チームが獲得を争っていた。理研の実験は2003年9月から始まった。加速器で亜鉛(原子番号30番)の原子核を重金属ビスマス(原子番号83番)の原子核に衝突させて融合する実験を繰り返し、04年9月から12年8月までに計3個の113番元素の合成に成功した。実験精度の優れていた理研の研究に発見者の名誉が与えられた。
 原子はその原子番号が大きくなると不安定になる。安定に存在できる最大の元素は、陽子82個と中性子126個から成る鉛208です。これより大きな原子核はどれも粒子を放出したり、真っ二つに分裂したりして徐々に「崩壊」する。天然にある一定の量存在するもので一番原子番号が大きいものは原子番号92のウランで、その半減期は45億年です。それ以降の原子の半減期は、96番キュリウム247は1560万年、98番カリフォルニウム251は898年、103番ローレンシウム260は3分、そこから先はもはや秒単位の寿命しか持ちません。理研の実験では113番元素はわずか1万分の3秒でα線という粒子を出して崩壊し、この世から消滅しました。