2016年8月28日日曜日

原発シンポジウム

 地団研の小川総会が8月19日から21日にかけて行われた。複数のシンポジウムがあったがその中で一番参考になったものが福島原発事故に関するシンポであった。
 4人の発表者から複数のテーマででの発表があった。特に印象に残る項目を挙げると、1つは放射能汚染の主役の放射性Scの動態の報告で、イオンとして粘土鉱物に取り込まれていること、またセシウムボールの問題が語られた。また次に、低汚染地域といて埼玉と群馬の観測例が上がり、いずれも線量は減っていることただしそれは放射性崩壊によるものでScはとどまり続けていること、汚染の問題として食品は注目されるがほこりに入るものの問題があるそうである。また現在の福島原発での汚染水問題がうまくいっていないことなどが報告された。マスコミに登場する機会は減ったが汚染問題(福島原発問題)が厳然として存在していることが確認できた。

2016年8月13日土曜日

北海道旅行

 三笠ジオパーク以外の小樽、積丹半島、札幌の訪ねた場所をまとめる。
 小樽:天然の良港小樽港を中心に発展した町。明治初め北海道の物資の出入り口として発展、昭和初期には銀行などが立ち並び北海道経済の中心として栄えた。第一次世界大戦後には小樽の大豆相場がロンドン市場に影響を与える時期もあった。ニシンや石炭の不振、樺太の喪失などで次第に勢いがなくなったが、1960~70年代の運河埋め立て論争のあと歴史的な遺産を利用した観光都市として脚光を浴びている。
旧金融街:銀行などの立派な石作りの建物が港に並行するように軒を並べる。営業をしていないものが多く、新しい全く別の借り手が入るものもあり。
運河:汚れた使われない運河を埋め立てる話が持ち上がったが、半分埋め立て半分道路にして現在は観光資源として活用されている。40分の運河クルーズを体験する。
 積丹半島:小樽の西に日本海に突き出た半島。那須火山帯に属する後志火山群の延長上に位置し火山岩でできている。ウニなどの海産物が名物。西南の付け根には泊原発がある。
神威岬:遊歩道を先端の灯台まで歩く。先端に神威岩という岩礁がある。散策路は火山角礫岩やそれに挟まれる砂岩からなる。
島武意海岸:積丹岬の駐車場からトンネルを抜け展望台へ、さらに海岸まで降りる。礫からなる海岸で昆布が自生している。散策路は火山角礫岩からなる。
 札幌では野幌森林公園を訪ねる。
野幌森林公園:札幌近郊の丘陵に残された貴重な森林、人工林と自然林からなる。とにかく広い、100年記念塔、自然ふれあい交流館、瑞穂の池と歩いたが1/10強である。
北海道開拓の村:野幌森林公園のとなりの開拓当時の建物を移築した公園、旅館、有島武郎の住居、北大の寮、農家の建物などをみる。

三笠ジオパーク

 8月上旬に3泊4日の北海道旅行を行い小樽、積丹半島、三笠、札幌を訪ねた。何を見たかをまとめる。
 3日目に三笠ジオパークを訪ねる。2013年日本ジオパークに認定。アンモナイトをはじめとする白亜紀の化石と石炭産業をテーマにしたものである。
 三笠市は明治初めに 良質な石炭の発見され炭鉱開発がなされたことで発展した。またこれを運び出すため鉄道を施設(三笠~小樽間)をつくり、また同時に採算面などで囚人を使った採炭を行われた。第二次世界大戦の後の日本の復興をささえ、町は栄えたが、その後1989年閉山となり鉄道の廃線、さらに人口減少に見舞われている。
 そんな中つくられたジオパークであるが今回訪ねた白亜紀の化石の中核の施設が三笠博物館と野外博物館である。三笠博物館はアンモナイトをテーマにしたもので展示は充実している。ただまじめなきらいがあり、もう少し博物館での販売等で頑張ってもらったほうが良いのかなと感じた。続いて付随する野外博物館を訪ねた。古第三紀層から白亜紀層への変化、野外にみられる石炭層、タヌキ掘りの跡、近代的な採炭の地上設備等がみられ充実した見学コースで会った。あとから資料を読むと、他の炭鉱遺構や鉄道博物館も見学したほうがよかった。

「政府は必ず嘘をつく 増補版」

 「政府は必ず嘘をつく 増補版」堤未果著(角川新書)を読む。今の世の中を直視する、暗くなるような本でもある。気になった部分をまとめておく。
 米ソの対立がなくなってからのアメリカの変化、富の分配が弱くなる、中間層の崩壊、民主、共和両党とも大企業からの献金が大きな財源になり大企業寄りに動くようなる。非正規社員、正規社員、公務員と次々に攻撃、破壊されていく、1%の持てるものと、99%の搾取される人々からなる社会、(大統領予備選挙のトランプ、サンダースの支持)、押しすすめられるグローバリゼーション。
 IMFによって社会構造が壊される国々、韓国の中間層の崩壊や南米の国々の疲弊、IMFはアメリカの利益を代弁する
 福島原発の事故があっても原子力発電を続けるのはなぜか、日米原子力協定という日本にウランと原発を買わせる仕組み、マスコミの原子力が安全の発言者(専門家)はすべて飼い犬、原発否定論がマスコミから排除される
 TPPとはなにか、国民皆保険維持の嘘、薬価のアメリカ企業による支配、企業の不利益を理由に相手政府を訴えるISDS訴訟でのアメリカは負けたことがない、成立していないのに法令改正を始めるアメリカ寄りの日本政府、国連人権理事会すらTPPに反対している。

2016年8月6日土曜日

デュープレックス構造

 埼玉県の理科研主催の剱崎・城ケ島の地質巡検に参加した。案内は蟹江康光氏である。
 いろいろ面白かったのだが、一番の成果はデュープレックス構造であった。デュープレックス構造とは、地層がその構造に近い複数の低角度の断層によって切られ繰り返して見える構造のことで。海溝での付加堆積物に特徴的な構造だと考えられているものである。城ケ島西部で調査をしていて、ピンクタフが何回も繰り返していることを認識していたが、それ以外の場所も含めて三崎層の基本構造であることが再認識できた。
 この地域では、これが一般に認識される前は、ただ単純に地層の厚さを足し合わせたため1万mを超えるような層厚が推定されていたが、実ははるかに薄いものであったことになる。
 またこのような特殊な構造は海溝での付加を考えないと説明できない。この上位に乗る初声層ではこの構造の現れ方が弱いことや三崎層を削ってできた堆積物であることから、これが付加堆積物の上位に堆積したものであると推定されている。

地球科学部夏合宿

 7月31日から2泊3日で奥秩父の中津川で夏合宿を行った。
 梅雨明けはしたのに天気が悪く夜は全く星空が見えなかった。特に3日目の朝は豪雨が続き、一瞬だがバスの運行が気になる天気であった。
 昼は1日目はこまどり荘から出合の地質見学、トーナル岩、金探しに来た平賀源内の滞在先の家、ホルンフェルスをみてスカルン鉱物を採集。2日目は地球科学部で初めての企画としてパニング皿を使った砂金探しを行った。ごく小さなものが見つかったがはじめてなのできちっと調べる必要がある。後半は文化祭のお土産のための黄色いザクロ石の採集を行った。3日目は大若沢の勘兵衛の滝までのまでの地質見学、複数のホルンフェルスが見られた。

2016年8月3日水曜日

「戦後政治を終わらせる」

 「戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ」白井聡著(NHK出版新書)を読む。以下参考になった項目を上げる。
 戦後の政治を大胆に解説する本である。朝鮮戦争がはじまり、GHQ内の主導権争いがおこり、戦争責任者たちが復活する。敗戦を終戦といいかえさせたのはなぜか。
 55年体制とは、アメリカをバックにする自民党とソビエトをバックにする社会党、ゆるい傀儡。最前線の韓国、台湾と前線の日本との戦後政治形態の違い。安保条約の変化、最初の安保条約、60年安保条約、冷戦崩壊以降の安保。
 日本には2つの法体系がある。ひとつは憲法、もうひとつはアメリカと約束したこと、後者が前者に優先する。世界に類を見ない親米右翼が主流派になる不思議な日本。沖縄の基地の固定化にもっとも貢献したのは昭和天皇である。
 反知性主義と排外主義がはびころのはなぜが?対中脅威論とはなにか?冷戦崩壊後の新しい体制を模索した小沢一郎と鳩山由紀夫。そしてそれを引きずり下ろしたアメリカに支配されることから利益を得ている人たち。
 いままでに考えていたことが確認され、かつ新しく目を開かせられた部分が数多くあった。