2020年10月30日金曜日

「地球の変動と生物進化」

  「地球の変動と生物進化 新・自然史科学Ⅱ」沢田健ほか編著(北海道大学出版会)を読む。北海道大学で行われた、地球科学と生物の分類進化の融合による地球表層圏の理解を進めることを目的とした活動の一環として出版された本。地球誕生から近年の地球温暖化までの様々な領域の成果をまとめた12編の論文集である。内容的には学部生や大学院生対象とあるとおり高校教科書の先の話しである。正直、非常に参考になったものもあれば、理解が進まなく読むのが苦痛のものもあった。

 一番の目的のものは、「新生代の海洋環境と気候変動」で、新生代の気温変動、大陸分布の変化、海流の変化などを総合的にまとめたもので、非常に参考になった。基本的には始新世の気温のピークから現在に向かって寒冷化していること、その間に温暖化寒冷化の変動があること(ビカリアが生きていたのは前後より温暖化した時期)。南極氷床の誕生、アジア・インドの衝突によるテチス海の閉塞、アジア・オーストラリアの衝突による環赤道流の消滅、ヒマラヤ山脈の上昇によるアジアモンスーンの成立など、新生代の変化を総合的に理解できるものであった。



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