2016年2月4日木曜日

「地球の内部で何が起こっているか?」

 「地球の内部で何が起こっているか?」平朝彦、徐垣、末廣潔、木下肇著(光文社新書214)を読む。 プレートテクトニクスの研究者による概説と筆者たちが取り組んでいる「ちきゅう」プロジェクトのレポート。
 前半のプレート関連は知識の整理に役立った。具体的には次の項目である。プレートテクトニクスの成立過程、日本列島の新知見、海洋調査とプレートテクトニクス、氷期と間氷期の研究成果などである。
 後半は日本の深海掘削船「ちきゅう」のレポート。何を行うか、技術的な困難さ、研究者のコミュニケーション、プロジェクトの運営など詳述されている。はっきりいって後半はやや間延びがする観がある。後半は自分たちの最近の活動内容をまとめた部分であり、一般の読者に地球科学的な関心を持ってもらおうという部分ではない。この本全体の対象者は地球科学系の学部生以上である。

2016年2月3日水曜日

「地磁気の逆転X年」

 「地磁気の逆転X年」綱川秀夫著(岩波ジュニア新書397)を読む。 地磁気について書かれた優秀な教養書。私も地学の授業で地磁気に関して話しているが、そのベースになるような知識が広く優しく正確に書かれてある。
 役にたったところを以下に列挙しておく。地球における双極子磁場と非双極子磁場、地磁気の逆転時にも後者はなくならない。地磁気の逆転は約300年で起こった(房総半島の研究)、オーロラの仕組み、オークランドエクスカーション、地球磁気の3条件、白亜紀スーパークロン、なぜ地球に磁場があって金星・火星・月にないか。
 理系進学のとくに地球科学系に進む学生には読んでほしい本である。

2016年1月11日月曜日

2016天文現象

今年の天文現象は火星が中心になりそうである。
2/16 アルデバラン食(昼間)
3/9 部分日食 食の始め10時~12時(入試事務にて観測不可),木星衝
*春の観測会・・・木星と火星
4/18 水星東方最大離角・・・前後に観望?
*新歓観測会・・・月、木星、火星、土星
5/8 アルデバラン食(薄明中)
5/22 火星衝
5/31 火星最接近(0.503AU)
6/3 土星衝
7/2 アルデバラン食(昼間)
夏の観測会・・・土星
8月上旬 夏合宿
9/15 中秋の名月・・・前後に観望会
9/22 アルデバラン食(昼間)
10/26 金星西方最大離角
*秋の観測会・・・秋~冬の星雲星団
11/16 アルデバラン食

2016年1月10日日曜日

原子番号113

 理化学研究所の研究チームが、原子番号113番の新元素発見者と国際学会から認定された。原子番号92番のウランより重い元素は自然界には存在せず、人工合成することにより生み出されてきた。これまで、新元素の命名権獲得は欧米勢に限られており、113番元素をめぐっても、理研と米露の共同研究チームが獲得を争っていた。理研の実験は2003年9月から始まった。加速器で亜鉛(原子番号30番)の原子核を重金属ビスマス(原子番号83番)の原子核に衝突させて融合する実験を繰り返し、04年9月から12年8月までに計3個の113番元素の合成に成功した。実験精度の優れていた理研の研究に発見者の名誉が与えられた。
 原子はその原子番号が大きくなると不安定になる。安定に存在できる最大の元素は、陽子82個と中性子126個から成る鉛208です。これより大きな原子核はどれも粒子を放出したり、真っ二つに分裂したりして徐々に「崩壊」する。天然にある一定の量存在するもので一番原子番号が大きいものは原子番号92のウランで、その半減期は45億年です。それ以降の原子の半減期は、96番キュリウム247は1560万年、98番カリフォルニウム251は898年、103番ローレンシウム260は3分、そこから先はもはや秒単位の寿命しか持ちません。理研の実験では113番元素はわずか1万分の3秒でα線という粒子を出して崩壊し、この世から消滅しました。

2015年12月30日水曜日

小網代の森

 三浦半島の小網代の森を訪れた。ここは、三浦半島の先端にある、相模湾に面した約70haの森で、森林、湿地、干潟及び海までが連続して残されている関東地方で唯一の自然環境と言われています。森の中央にある谷に沿って流れる「浦の川」の集水域として、森、川、海のつながりが必要なアカテガニをはじめとして、希少種を含む多くの生き物たちが、多様な生態系を形成しています。
 湿地であるが歩道が整備されて歩きやすい。きちっとした双眼鏡をもっていかなかったので野鳥はよくわからなかったが、キツツキのドラミング、ジョウビタキ、ウグイス、コジュケイ、ウの集団営巣は確認できた。植物も冬の目立たないものが多かったが、ガマの穂、アオキの赤い実、つる性のフジの種、ジュズダマ、ムラサキシキブ?などを見学し、貴重な自然の一端を垣間見ることができた。

2015年12月25日金曜日

ノーベル賞2題

 少し遅れてしまったが、今年のノーベル賞の日本人受賞者についてまとめる。
 大村智(医学・生理学賞)・・・寄生虫の特効薬で受賞。土壌中の菌から抗生物質を抽出、これが昆虫や節足動物の神経に作用することがわかり、さらにアフリカ、中南米の風土病「河川盲目症」の特効薬であることが分かり、病気の撲滅に寄与した。薬の生みの親であることが評価された。
 梶田隆章(物理学賞)・・・ニュートリノの研究で受賞。生成時に決定されたニュートリノのフレーバー(電子、ミューオン、タウ粒子のいずれか)が、後に別のフレーバーとして観測される現象をニュートリノ振動という。これはニュートリノが質量を持つことにより起きるとされ、素粒子物理学の標準模型では説明できない。このニュートリノ振動を実験で証明したことが評価された。小柴氏とおなじスーパーカミオカンデでの成果である。
正直な感想として2人とも科学者として傑出した人だとおもうが、ものすごいお金(税金)をかけ結果を出さないと困ってっしまうものに対し、無人の荒野を切り開いた大村氏の受賞のほうを評価したい。

人工衛星2題

 あかつき・・・日本の金星探査衛星、2010年5月H-ⅡAロケットで打ち上げられるが、主エンジン故障で金星の周回軌道投入に失敗し再度の機会を待っていた。
2015年12月に制御エンジンの噴射によって周回軌道投入に成功。直後送信された金星表面の近赤外線画像は金星を覆う雲の高低の様子がわかり、今後の観測に期待が集まっている。
軌道投入の失敗から6年後の再度の挑戦の成功に驚きを禁じ得ない。
 はやぶさ2・・・2014年12月にH-ⅡAロケットで打ち上げられた小惑星探査衛星。太陽系の起源・進化と生命の原材料物質を解明するためC型小惑星「Ryugu」で2019年末に到着し、探査をした後2020年末頃地球帰還の予定。
2015年12月に地球スイングバイを行いRyuguに向かった。その際氷に覆われた南極大陸がはっきりと映った地球の写真が公開された。