2015年8月25日火曜日

「科学者は戦争で何をしたか」

 「科学者は戦争で何をしたか」(益川敏英,集英社新書)を読む。ノーベル賞科学者が科学と戦争の関係そして軍事強化に傾く現在日本についてまとめた本。
 はじめに、近代に科学がいかに戦争に使われてきたかを述べる。具体的にはダイナマイト、殺虫剤(毒ガス)、無線技術など。次に、第二次世界大戦中、科学者はなにをしたかが語られた。原子爆弾をつくったマンハッタン計画。これに対して核廃絶を訴えた科学者の存在(「ラッセル・アインシュタイン宣言」など)、しかし科学者はその使用や増強に全く関与できなかったこと。
 現代は研究領域がより細分化され全体像がつかみにくくなっている。また軍学協同が進み、巨大な資金が役に立ちそうな分野に投下されるようになっている。さらに民生用の技術が軍事用に利用される(ディアルユース)問題が顕著になっている。
 日本の軍事強化への不安が述べられ、自身も参加する「九条科学者の会」の設立に至った経緯がまとめられる。
 何か所かで自身が科学者が二足のワラジをはいていたといっている、これは研究活動と平和活動であるが、恩師坂田先生の教えだそうである。また最後に科学者である前に人間たれとまとめている。 

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